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シリーズ
6
殺風景な部屋の中で、ひょっとしたらその客は帰ってしまったかもしれないというわずかな希望が頭をかすめたが、急に開かれた扉の先を見てそれは打ち崩されてしまう。

「では、お楽しみください」
 
案内の男が客らしき人物を僕がいる部屋に通す。入ってきたのは身なりのいい男で、見るからに上流階級出身といった感じだ。

「初めまして、ロッソからはまだ穢れのない体と聞いたが、まあそう緊張するな。私が一通りのことは教え込んでやろう」
 
自身に満ちあふれたしゃべり方は、その男が今まで他人に対して引け目を感じたことがないということを教えている。

「確かネーロといったか、吸血鬼だそうだな。吸血鬼と言っても私から見れば所詮人間に毛が生えた程度のもの、あまり激しく使えば壊れてしまうかな?」
「……お、お前はなんだ。ロッソと同類か?」
 
男は答えない。無言のまま滑車を使って手枷に繋がれた鎖を巻き上げ、僕を吊り上げる。立ち上がり、腕が完全に伸びきったところで男はようやく鎖を巻き上げるのをやめた。

「本来なら私はひ弱な小僧に、そんな生意気な口を叩かれて許すような真似はしないが、今回だけは口の利き方はそのままでいい。従順にされるより今の方が楽しめそうだ。私のことは口で説明するより実際に見せた方が早いだろう」
 
そう言うと男はサッと顔をひと撫でした。すると驚くことに冷徹そうな顔は真黒な毛で覆われ、大きな角の生えた山羊になってしまった。

体は人間なのに頭だけは山羊という姿に、僕はこの男が悪魔なのだと、とっさに理解した。

「さあ体を差し出せ。ロッソの精を飲んだのなら、体がうずいて仕方ないだろう」
 
男の手が僕の乳首を思い切りつねった。強烈な快感が僕の体を駆け巡り、叫ぶ以外に声が出せなくなってしまう。たったそれだけの刺激にもかかわらず、僕の股間はすでに硬くなり始めていた。

男はそんな僕の悶える姿を楽しむように、異様に長い指で僕の性感帯を愛撫する。

「あっ、ダメ、やっ、うぅ……!」
「何故駄目なんだ? 私はただ指で触っているだけなのに」
 
布越しに勃起を触られ、僕の腰は浮き上がる。男は無機質な山羊の目で僕の痴態を眺めていた。山羊の目なんか嫌いだ、カエルみたいで気持ち悪くて仕方ない。でも僕はそんな気味の悪い目を前にして発情していた。

男は僕を愛撫するのに満足し、お次は鞭を持ち出した。黒くて、細くて、よくしなりそうで、あんなものを振り下ろされたら間違いなく傷が残ってしまう。

まさかそんなものを使うのかと思ったが、男は鞭の先端で僕の股間をいじらしく撫でてきた。

「腰が動いているぞ、自分から擦りつけてどうした?」
「うるさい、僕は、うっくぅ、僕は……っあああ!」
 
僕が何も言い出さないので、男はしびれを切らして僕の腹に鞭を振り下ろした。破裂音に似た音が部屋に響き、僕は痛みに顔を歪める。

だがどういうわけだか、痛みよりも鞭の当たった瞬間流れた快感が僕の中で大きくなっていった。

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あきゅろす。
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