たったそれだけ。
現代 学ぱろ
あー。
かったりぃ。
「はあ…………」
放課後の教室、赤く染まる窓ガラスに一人。
俺の手元には一枚の紙切れ。
そこには「再提出」の赤い文字。
「…帰るかな、」
机を立ちプリントをグシャ、と片手で丸める。
こんな紙っぴら一枚提出しなくても俺の落ちるとこまで落ちた成績がどうこうなるってこたぁねぇし、(←笑うとこ)
人生が変わるとかそんな大したことも起こるわけもない。
ただめんどくさいから、
やろうとは思わなかった。
「…下らねぇ」
勉強とか学校とか、それらを見下してスカしてる自分とか、何もかも。
なんて考えたら無性にイラついて、机の足を蹴って手に丸めた紙を教卓前のゴミ箱に投げ―
「…あ?」
ようとした。
そこに居たのは同じクラスの毛利で、
机を蹴飛ばした音に驚いたのか固まっている。
「おう…毛利か」
こんな時間までガッコで何してんだ、
振りかぶった手をだらしなく降ろして尋ねる。
「…せ、生徒会の執務があったのでな」
俺が話し掛けたので我に返り、咄嗟に返ってきた答え。
そういやコイツ、生徒会長やら何やらやってたっけ。
「貴様こそ、何をしておるのだ…長曾我部」
切れ長の目が俺を捉えた。そういやあんま近くで顔とか見た事なかったな…
…あれ?
なんか違和感。
俺、こいつに名前とか呼ばれた事あったっけ?
つか、俺のこと、知ってる…?(まぁ、同じクラスなんだから知っててもおかしくはないが)
「俺はな、ま…先公に説教されててよ」
「ふむ…伊達は一緒ではないのか」
伊達って言うと、
今日小十郎サンとデートだから、とかたらして説教もほったらかして帰ったアイツか。
「ああ、アイツは説教すらトンズラこいてったよ………って?」
何で、俺と政宗が一緒に説教だって事知ってんだ?
超能力か、と考えてたら難しい顔をしていたらしく、毛利が言う。
「今日のHRで大声で怒鳴られていたではないか。まったく武田先生も処構わずに…」
…ああ。そっか
…ん?
なんか俺、いまガッカリしなかったか?
もしかして毛利は俺のこと見てて、とか
考えてなかったか?
「えっと…………」
何だ、この感情。
こんなの、俺、知らね――
「まあよい…あの先生はいつもそうだしな。では我は帰るぞ」
俺の沈黙を先生を怒鳴らせて申し訳ないと思っているのと受け取ったのか、キッパリとそう言うと、机の脇にかけてあったカバンを取り、入った方とは逆のドアからスタスタと出ようとする。
「―ちょっと待った!!」
―気付いたら。
ほんとに無意識だ。
俺は毛利の腕を掴んでいた。
「これ今日説教されて出された課題……教えてくんね?」
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