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一番欲しいのは君 [たじちよ]



今日は俺の誕生日。
俺にとって一年に一度の特別な日だ。
深夜零時に沢山のメールがきた。
その中には大好きなあの子からもきた。(すっげぇ嬉しかった)
朝から家族のみんなはお祝いの言葉を言ってくれた。
今日の弁当は俺の好きな物ばっか。
今日の夜だって俺の好きなものばっかりのメニューで、ケーキだって用意される。
プレゼントだって貰える。
俺が今欲しいのは野球道具……も捨てがたいけどやっぱ一番手に入れたいのは、大好きなあの子、篠岡なんだ。


*


「田島、誕生日おめでとぉ」

朝、部活のみんなは会うなり、声を揃えて言った。かと思うと恒例のハッピーバースデーの歌を合唱。
歌い終わり、「さんきゅー!」と笑って返せば泉が三橋を引っ張ってきて、

「今日の放課後、俺と三橋で何か奢ってやるよ」
「はいはい! 俺達も奢るよ!」

水谷や栄口達も入ってきた。
阿部と花井も頷いていて、すっごく嬉しかった。けど、

「なぁ、しのーか今日の朝練にいないの?」

俺が問いかければ花井が頷いた。

「今日の朝練はこれないんだってさ。よし、練習始めんぞ」

と花井が言って皆は準備を始めた。
朝練に来れば会えると思ってた。
早く彼女に会いたい。
そして俺に向けて彼女の口からお祝いの言葉を言ってもらいたい。メールなんていう文じゃなくて君の声を聞きたいんだ。


*


四時間目がもう少しで終わる。空腹との戦いで机に伏せているとポケットに入れていた携帯が振動した。
授業中だがメールを開き、俺の心臓はドキッと鳴った。
メールの送り主は、篠岡千代。

『昼休みになったらすぐにグラウンドに集合ね!』

一斉送信かと思い、送信アドレスを見るがそこにあるのは俺のメールアドレスだけ。
授業終了を知らせる鐘が鳴る。授業終了の挨拶をすると泉達が「田島弁当食おうぜ」と近寄ってきたが、

「悪い! 用事がある!」

弁当片手に教室を飛び出した。

嬉しくてしょうがなかった。
愛しくてしょうがなかった。
自惚れてもいいのだろうか?

放課後の部活でも良いのに、わざわざ俺を呼び出してくれるなんて。
全力で走ってグラウンドに着けば、既に篠岡はマウンドの上に立っていてグラウンドには篠岡以外誰もいない。
今日は秋晴れ。篠岡は澄んだ空から顔を俺の方に向けて俺に微笑んだ。

「来てくれてありがとう」

俺が篠岡の方へ足を進めると篠岡も俺に近づいてきた。
お互い足を止めて、俺は篠岡に問いかける。

「どうしたの? 俺に用事?」
「うん。今日田島君誕生日でしょ? 朝、言えなかったから」

頬が少し赤い篠岡を少しいじめてみる。

「放課後の部活の時でも良くね?」
「みんながいる……」

可愛すぎる篠岡に俺は耐える。耐えなければまだ彼女でもない篠岡を抱きしめてしまいそうだ。

「えっと、田島君! 誕生日おめでとう! でね、プレゼントがあっ」

無理だった。耐えることが。
反則でしょ、その笑顔。
抱きしめてしまった。篠岡は「たじ、田島君!?」と焦っている。
ゆっくり篠岡から離れて、

「ごめん。ありがとな!」

と言って逃げようとすれば服の裾を掴まれて前に進めなかった。篠岡は首を横に振って、

「抱きしめられたの嬉しかったよ」

と呟いた。自惚れてもいいかなんて、もうこれを聞いたら自惚れるも何も確信を得た。

(俺が触れても、いいんだ)

「あのね、私、誕生日プレゼント用意出来なくてそれで」
「いいよ」
「え?」

首を傾げた篠岡を再度抱きしめて

「俺、誕生日プレゼント篠岡がいい!」

と(結構大きい声で)叫べば俺の腕の中にいる篠岡が笑った。

「私が誕生日プレゼントって……それって」
「好きだよ、しのーか!」
「あはは! 先に言われちゃった。ほんとは私から言うつもりだったのに。私も……私も田島君が好きだよ」

篠岡の腕が俺の背中にまわされて、あぁ幸せだなってふと思った。

(誕生日って最高!)




一番欲しいのは君


(じゃぁ告ろうとして俺呼び出したの?)
(うん……)
(じゃさ朝練いなかったの何で?)
(えっと緊張して……気づいたら電車出発してて)
(かわいい!)




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田島君ハッピーバースデー!
2日遅れてしまいましたが
愛はあります!!
誕生日プレゼントはこの後
千代ちゃんからマフラーとか?
たじま君とちよちゃんには
ラブラブになってもらいたいです\(^o^)/←



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あきゅろす。
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