君の隣、先着一名 [栄→篠 +巣山] 巣山と話していたら、篠岡が俺達の元へ来た。部の事で連絡があったらしく、紙を俺達に渡すと手を振って笑顔で帰って行った。 頬杖をつきながら巣山が呟く。 「栄口ってさ、篠岡の事好きなんだよね?」 「えっ、あ、そう、だけど……」 巣山には教えていたが、改めて聞かれると何だか照れる。 「栄口は篠岡に何て呼ばれたいの?」 巣山の質問に俺は天井を見上げる。 (栄口君は……いつも呼ばれてるし、どうせなら勇人君? や、何かこう) 「勇君……って呼ばれたいな」 「へぇ、いいじゃん! じゃ、俺なら尚君か?」 二人で笑いながら、一枚のルーズリーフに、もし篠岡が彼女だったらと想定して(俺にとったらこの例えはちょっと複雑だけど) 篠岡からの呼ばれ方を書いてみる事にした。 大抵名前の一文字目に君づけか呼び捨て。 「泉は孝ちゃんか?」 「孝ちゃんとか! かわいいな! 後は阿部と田島と花井か。花井は梓って呼び捨てかな」 ぶぶっと俺が笑っていると、巣山のペンの動きがピタリと止まる。 「巣山、どうした?」 「阿部って、たかちゃん? やっぱ阿部は阿部君?」 「……阿部は阿部君で」 「でさ、田島なんだけどさ」 俺が、んー? と返事すると、 「田島も悠君だよ」 「あ……そう、だね」 顔を巣山から下へ向け、心の中で呟く。 (そっか、田島もゆう君か。……俺だけの呼ばれ方だと思ってたからちょっとショック) 「でもさ、同じゆう君でも、そう呼ばれるのは一人だし、栄口が先に篠岡を手に入れるってか、彼女にすればいいんだよ!」 巣山の言葉に俺は俯いていた顔をあげる。微笑んでいる巣山が目の前に居た。 自然と俺の顔も笑顔になって、 ああ、巣山ありがとう。 「そうだよね!」 俺も満面の笑みで言った。 君の隣、先着一名 (とりあえず、瞑想は篠岡の隣に行けよ) (二つしか手ないからかなりの勝負だけど頑張れ!) (さりげなく自分アピールだぞ、栄口!) ----------------------* 巣山君は栄口君の恋愛相談 を受けていればいいな。 そして巣山君はかなり栄口君 を応援してればいいです。 呼び方は私の勝手な妄想ですからぁ!! オマケの話 [*前へ][次へ#] [戻る] |