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お幸せに! [たじちよ+子供+花井 未来]



今日は田島のプロ球団の試合だ。
席は田島に家族の分と俺の分を取ってもらっていたので、田島の妻子と球場で待ち合わせをした。


「しの……じゃなくて田島」
「花井君。篠岡が言いやすいならそっちでもいいよ。私は田島の方がいいけど」
「はいはい、ノロケですか?」

俺の言葉にふふふ、と笑ったのは高校時代の同級生で頼れる我らがマネージャーだった旧姓、篠岡千代だ。
今の名前は田島千代。
そう、篠岡は田島と結婚した。
篠岡(旧姓だけど)の腕の中には一歳になったばかりの女の子、楠音(くすね)ちゃんが眠っている。(この五月蠅い中で眠られるのは田島似だろう)

「梓おじさん遅いよ! パパの試合始まってるよ」

そう言ったのは六歳の陽斗(はると)。
しっかり田島の球団のユニフォームを着て、背番号と名前も田島のもの。手にはグローブがはめられていた。

「陽斗、気合い入ってるな」
「だって大好きなパパの試合だもの」

篠岡の横にいた陽斗は身を乗り出し、

「パパだ!」
『五番、サード田島悠一郎』

アナウンスの言葉にその場が騒がしくなる。
田島コールが始まり、篠岡を見れば満面の笑みを浮かべていた。
ああ、田島は皆に愛されてんな。そう感じていると爽快な音が球場に響いた。
セカンドとショートの微妙な間を抜けて白球は走り出す。
田島も走って走ってベースを踏む。
ツーベースヒットだった。
田島のおかげで田島のチームに一点が入る。初回からいい流れだ。
田島を称える歌が聞こえ、歓声が止まない。

「梓おじさん、ママも見た!? パパかっこいーね!」
「うん、本当格好いいね! でもパパはこれからだよ」

篠岡の言葉(ノロケが入ってる)に陽斗は頷くと次は俺へと目を向けた。

「おう見てた! 初っ端から凄いよな! ……そういえば田島さん」
「なぁに?」
「田島の球団今一位だよな?」
「そうだよ! パパの球団は一位なんだよ!」
「そうか、凄いよな! っとさ、田島何で五番なの?」

俺の質問に篠岡は苦笑すると言った。

「……外人さんのホームラン打てる人が四番なの」

(あぁ、やっぱ体格?)

田島は大きくなったが球団の中ではやはり小さい方だ。

「でもパパはやっぱり誰よりも上手だし格好いい!」

そう言ったのは陽斗で、俺は陽斗に笑ってみせると「そうだな!」と言った。
その回は二点入り、その後も田島はヒットばかりだった。
結局、試合は田島側の球団の圧勝に終わり、篠岡は楠音ちゃんを抱えて立ち上がる。

「陽斗、帰ろっか。花井君も良かったら家来ない?」

篠岡が陽斗の手を取るなり俺に問い掛けてきた。

(たまには田島と呑もうかな)

その誘いに頷き、俺達は田島家へと向かう。
眠っている陽斗を背負い、端から見れば俺は篠岡と夫婦に見えるのかな、など変な事を考える。まぁこんな事口にしたら――

「田島に何て言われるかな」
「何が?」
「いや、こっちの話」


*


午後八時、

「ただいま! 千代! 陽斗、楠音!」
「お帰りなさい、悠君」
「お帰りパパぁ!」
「あ、ぱ、う」

田島は帰ってくるなり篠岡(あ、旧姓ね)と子供達を自分の腕の中へとおさめる。

(うわ、父親っぽい)

俺は微笑すると田島の前へと出る。
田島は俺を見るなり目を見開いていたがすぐに笑顔を浮かべた。

「パパ! 今日も凄かったよ! パパ格好良かった!」
「そうか! ありがとな陽斗!」

田島に抱き上げられた陽斗は今日の感想を田島に伝えている。

「ご飯出来てるよ」
「やった! 今日のメニュー何?」
「パパの好きな物!」

陽斗の言葉に田島はよっしゃぁと言うと二人、居間へと向かった。

「花井君も食べて行って! お口に合うか分からないけど」

篠岡の腕の中にいた楠音ちゃんが俺に手を伸ばしたので俺は楠音ちゃんを抱き上げる。

「全然。しの……じゃなくて田島さんの料理は美味しいですから」

俺の言葉に篠岡は微笑んだ。


*


子供達は別室で寝息をたてている。
遅い夜は三人で話をして、お酒をちょびちょびと呑む。
ふと田島はおつまみを口に運ぶのを止め、俺を見るなり不機嫌そうに口を開いた。

「てかさ花井、球場から千代達と一緒に帰ってきたんだよな」
「そうだけど?」
「何かムカつく。お前が千代の旦那みたいに見えんじゃん」

田島が俺を睨んできたので俺はドキリとする。
篠岡は田島に近付くと、頬を少し赤らめふわりと笑った。

「私は悠君が一番だよ。今日も格好良かった」

篠岡の言葉に田島は唇を震わせ、

「可愛い! ちょう好き大好き愛してる!」

と叫ぶなり篠岡を抱きしめた。

「お前ら、今は子供達が寝てるからいいものの(俺に見せつけんのも止めてほしいけど)」
「別に、子供達の前でもラブラブだから」

田島の言葉に俺は目を細める。

「抱きしめたい時に抱きしめる。これ俺のモットー!」

篠岡の肩を抱くと俺に向けて田島が言った。
その言葉と光景に俺は呆れた目で二人を見ると心の中で呟いた。

(俺、もう帰ろうかな)






お幸せに!


(この家族がいて)
(お前が居る)




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昨日、プロ野球見てきて
おお振り!!!!となり出来た産物←
プロは田島君イメージがあって
家族で観戦しに行った。感じです^^
未来について、田島君には花井君が
泉君には水谷君が関わってそうです^^!
逆もです!花井君には田島君とか!
ちなみに田島君の結婚が早いだけで
花井君が結婚してないのは普通です←
長くなりましたがここまで付き合って
下さりありがとうございます!
書いてて楽しかったです!


2010.9.26

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