俺には君が必要です [たじちよ未来] 「田島どうした。あの単独プレーは。お前らしくなかったぞ」 「……すんません」 「最近、本当にどうしたんだ? 四番、譲りたくなかったら落ち着いて冷静になれ」 「はい……」 今日失敗した。 いや、ここのところずっとだ。 プロの世界に入って一年が過ぎた今、思うように野球が出来ない。 球が乱れる。ここだ、と思ってバットを振れば球はミットの中。 ――スランプだ。 監督も仲間もいない部屋で一人ベンチに腰掛ける。 「くそっ」 そう言ってベンチを拳で叩いた。 * 「千代、ただいま」 「お帰りなさい、悠君。今日もお疲れ様」 家に帰れば俺の奥さんである千代が迎えてくれる。 微笑む千代を見て少しだけ気持ちが楽になって、愛の力って凄いな。そんな事を脳裏で考え、一人くすりと笑う。 多分、千代は気づいていると思う。 俺の変化に。 前向きに明るく元気が俺のモットーだ。(そりゃ、大人になったから高校よりは落ち着いてはきたけど) でも今の俺は真逆だから。 ご飯と風呂を済ませて、テレビを見ていると千代が風呂から上がってきた。 隣に座ってきた千代からはいい匂いがして、何だかムラムラする。 不意にテレビを消したのは千代。 俺が首を傾げて千代を見れば「お話しよう」と言った。 特に断る理由もないので頷けば、千代が俺を抱きしめてきた。 「千代……?」 「悠君、最近元気ないから心配なの。一人で悩まないで、愚痴だって何だって聞くよ。泣いたっていい。私が全部受け止めるから」 やっぱり、気付くよな。 こんな分かりやすい態度。 俺を抱き締めてる千代の体が震えだした。 「悠君が悲しいと私も悲しいの。だって私は悠君の妻だもん」 「……千代泣いてんの?」 「心配させちゃってたよな、ごめんな」 俺は千代の背中に手をまわして力強く抱きしめる。 愛おしくて愛おしくてたまらない。 「千代がいてくれて良かった」 そう言って俺は千代を自分から離すと千代の唇を一度塞ぐ。 「俺さ、今戸惑ってて。スランプとかそんなの自分には関係ないって思ってたし、こんなに打てなくなるとは想像もしてなかった。かなりスランプを甘くみてたよ」 一つ溜息を吐いて、千代を見る。 「でも俺、頑張るよ。それに千代がいるから頑張れる。これからまた愚痴吐いちゃうかもしれないけど聞いてやってくれな」 「当たり前だよ。またキラキラ輝いて野球やる悠君楽しみにしてるね」 千代が笑顔で言ったので、俺も微笑み返す。 「あー、千代のおかげで少し楽になった!」 「なら、良かった!」 「ま、精神の方がね」 俺の言葉に千代は首を傾げた。 (あぁ、俺と違って純粋。変な所に鈍感だし、本当可愛いな千代) 俺は胸まで伸びた千代の茶色の髪を少し掬うと優しくキスをした。 「悠君!? どうしたの?」 「あーいい匂い。今俺、体の調子が本調子じゃないんだよね」 「どうしたの!? まさか具合悪いの!?」 心配して俺に更に近付く千代を見て俺は口角を上げると、千代の手首を掴んでソファーに押し倒した。 「随分ご無沙汰だったし……俺の体が千代が足りないって言ってる」 「なっ、……もう」 反抗する事はなく、千代は顔を赤らめた。 「愛してる、千代」 「私も、悠君大好き……愛してます」 今からする行為の始まりを告げるように千代に深いキスを落とした。 俺には君が必要です (千代は俺の栄養) (悠君! 変な事言わないの!) (だって事実だし) *-------------------------------* もー書いてて楽しくて!! たじちよ本当好き!! 田島君変態だからエロに走りたくなる← 結婚後の田島夫妻。千代ちゃんは良い 嫁になると思います('∀^) 2010.8/11 _ 何度 [*前へ][次へ#] [戻る] |