この想いを君に2 [泉+栄口] ※「この想いを君に (みずちよ)」のおまけの話で、本編に書ききれなかったお話です。 --泉君視点-- 水谷が居なくなったのを確認すると大きな溜め息をついた。 「ごめん。泉聞いちゃった」 声が聞こえて振り返ればそこには栄口が立っていた。 「や……別に。今日一人?」 「巣山購買行ってる。てかさ、さっきの話」 「別に慰めとかいらねぇから! 好き同士がくっ付いて当たり前の話だろ」 俺が笑って言うが栄口は笑わない。泣きそうな顔で俺を見ていて、 「……俺は、泉が篠岡好きだって俺に打ち明けてくれた時から泉応援してた。篠岡が水谷好きだって言っても水谷には悪いけど泉を応援してた」 「おう」 「二人が楽しそうにしてると俺まで嬉しかった」 「おう」 「どうして自分の想いを伝えなかった?」 「伝えるなんて、んなの迷惑だろ……」 「言い訳にしか聞こえないよ」 そう。ずっと、好きだった。 みんなは俺を男前と言う。 俺のどこが男前だって? 好きな女に好きと言えない男のどこが。 栄口の言うとおり、迷惑だなんてただの言い訳で、振られるのが目に見えていたから怖かった。 強引にすれば、篠岡と水谷同時に二人を傷付ける事になる。 そんなの出来るはずがなかった。 「すげー好きだった。見てるのが辛かった。俺だって篠岡が欲しかった。でも篠岡は水谷を選んだ。それだけの話だよ。でも、ありがとうな栄口」 言葉は強がりばかりが出てくる。なのに、瞳からは涙が溢れてきて、俺格好わりぃ。 「うん」 栄口が俺の頭をポンとあやすように軽く叩くとそれ以降は何も言わなかった。 俺は涙をぶっきらぼうに拭き取ると栄口に笑って見せた。 「ははっ、泣いてらんね」 「泉が泣いてんの珍しいもんね。でも泉ってやっぱ男前だよ」 「はぁ? どこが」 「だって好きな人の幸せを願えるし」 「なんだそれ」 栄口から顔を逸らして屋上の入り口へと足を進める。 「大丈夫なの泉?」 「おー。それに教室に田島達待たせてるし帰らなきゃな」 「ふーん。まぁ顔なおしてからいけよ! 全体的に赤いからさ」 最後の方になると栄口の声は大きかった。 栄口の言葉に片手をあげ、ドアノブに手をかけて教室へと向かった。 * 教室に着けば浜田が縫い物をしているだけで他二人は既に爆睡中。 「おー泉お帰り。もうみんな寝たぞ」 「俺も寝よっかな」 「てか顔とか目とか赤いけど泣いた?」 「泣いてねぇよ! 水谷と屋上で……鬼ごっこしてきたんだよ」 俺の言葉に浜田が吹き出して、何かカチンときたからプロレス技をかけてやったらその場にくたばった。 そのまま浜田を放置して、自分の席へ向かい、机に顔を伏せる。 次二人に会った時はそうだな。こう言ってやろう。 「俺のおかげだな」と。 サヨナラ君への恋心 (本気で君が大好きでした) *-----------------------------* 泉君視点で。 泉君が可哀想な^^;笑" 栄口君が応援してたって裏話 この想いシリーズ二作 私も好きなお話なんで 是非皆様も好きになって いただけたら嬉しいです^^ 2010.4/4 [*前へ][次へ#] [戻る] |