この想いを君に [みずちよ+ 泉]
気づいていた。
泉の目線の先には篠岡がいることを。
そんな泉も俺が見ているのは篠岡だと気付いてる。
「お前、最近目つきキツくなったなよな」
阿部に言われた。
「そ、かな? 別に普通だよ」
「嫉妬と独占欲に満ち溢れた目してんぞ」
クククと笑いながら阿部が言った。
顔にでているとは気づかなかった。
チラリと篠岡を見れば友達と笑っていて、
『あぁ、あの笑顔が俺のものになればいいのに』そう思い、掌をきつく握り締めた。
でもその想いとは裏腹に何も出来ない自分がいる。
泉も篠岡を好きなら俺が何か行動を起こせば遠回しに泉を傷つける事になる。
それが嫌だ。
だけど篠岡が他の人に取られるのは嫌だ。
「おーい……みずたにぃ。見過ぎで女子何か勘違いすんぞー」
「花井、こいつには聞こえてねぇよ」
「でもさ! みずたにー! こっち向けー!」
阿部と花井の言葉は脳裏で微かに聞こえたが今はどうでもよくて。
勢いよく椅子から立ち上がり教室を飛び出した。
*
「なに、あいつ」
「青春始まりますじゃね?」
「は? 何? 阿部。どゆこと?」
「ま、水谷を応援しようぜ」
「だからどうゆうことだよ!」
*
向かう先は九組の教室。走って(走るほどの距離じゃないけど急いでるから)
泉と田島と三橋それから浜田さん達が昼を食べている場所へ向かう。
「いずみ!!」
「あ?」
「よー水谷! どした? 今日威勢いいなー!」
「み、ふたに、くんっ」
不愉快そうにパンを口に銜えている泉の腕を引っ張り、「ちょっと泉借りるね!」と言って九組を後にする。
「おーじゃなー!」
「ま、たっね!」
「泉後で百円返すわ」
*
「で、何で俺を連れ出した訳?」
怠そうに泉が俺に問いかけた。ここは屋上で人が滅多にこない場所に泉を連れてきた。
「正々堂々としたかったから」
俺の言葉に泉は首を傾げた。
「俺は、その篠岡が好き……なんだ」
「知ってる」
あっさり返ってきた返事に苦笑いすると泉がため息をついた。
「だって見てればわかるし。第一お前分かりやすい」
「……はは。てかまだ続きがある」
泉が黙った。俺は目線をそらしながら言い出す。
「泉も篠岡好きでしょ? 俺泉が篠岡見てるの知ってる」
沈黙が流れて泉を見てみると、ブッという音とともに俺を見て笑っている。
「何それ。勘違いだよ」
その言葉に俺の頭は混乱
「確かに篠岡見てたよ。篠岡がお前と居る時にな。相談受けてたんだよ篠岡から。ここまで言えばわかんだろ」
「……何? わかんないよ! 相談ってもしかして実は俺が嫌いだけどどう接すればとか?」
「馬鹿だな。篠岡がそういう事言うかっつーの。被害妄想激しすぎ」
泉が見てたのは俺と篠岡が一緒にいる時。篠岡が泉に相談。
嫌いとかじゃなくて……。
次第に顔が熱くなって「まぢか」と、気付けば呟いていた。
目の前にいる泉の口角は上がっていて、
「ほら、分かったならいけ! 男らしくビシッと決めてこい!」
「うん! ありがとう泉!」
教室に着くとすぐに君の手を引いて教室を飛び出した。
みんなが見ている中だけどそんなのはどうでも良い。
今言いたくて、
溢れ出してしまいそうなこの想いを今、
君に伝えたいから
この想いを君に
(好きだよ篠岡)
(本当に? ……私も水谷君が大好き!)
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2もあるので読んでください^^
そちらは置いて行かれた後の泉君の話。
はい! みずちよですっ!!
ほぼ水谷語りか水谷&泉でしたが(笑)
2010.4/4
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