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愛のPower注入しました [たじちよ]



今日は、早く目が覚めた。
から、早く家を出た。
まだ薄暗い道を鳥の囀りを聞きながら、自転車を漕いで向かうは俺が大好きな西浦高校のグラウンド。
この学校に来て、ここで出会った仲間達と野球を始めてから早くも二回目の夏が近付いてきている。


一人、「しゃぁす」と言ってグラウンドに足を踏み入れる。
初めに目に入ったのは、俺の家が寄付したドデカムギワラボウシ。
その帽子を被るのは彼女だけで、でも彼女はいつもこんなに早くは来ない。
一度首を傾げ、ゆっくり草刈りをしている人物へ近付く。

「わっ」
「きゃあ!」

朝から大きな声だった。
彼女は持っていた草刈り用の鎌を地面に落としておそるおそる振り返った。
目にはうっすら涙が溜まっていて……その顔はやばいって。

「ゆ、悠君……」
「はよ、千代!」

練習中などは、田島君と篠岡だけど、こう二人の時やクラスでは、悠君と千代。
二人だけの特別な呼び方。
そう、俺は去年の冬から篠岡と付き合っている。

「もう! 本当びっくりしたんだからね!」
「ごめんごめん。でも、千代がこんな早くからいると思わなかったから、幻かと思っちゃって」
「幻じゃないよ! ……今日は早く目が覚めちゃって。悠君はいつもこんな早いの?」
「まさか。俺も早く目が覚めたんだよ」

目の前にいた千代は「同じだね」と言って俺に微笑む。
辺りを一度見回し、俺は突っ立て居る千代に言った。

「一緒キャッチボールやらね?」
「やりたい! けど草刈りがあるし、それにグローブ……」
「俺、もう一個あるから貸すよ。ちょっとだけなら大丈夫だって!


千代は頷くと満面の笑みを俺にむけた。


*


早朝のグラウンドにパンっという音が響き、白い球が宙を舞う。

「ヘヘ。悠君とキャッチボールが出来るってたまには早く起きるのも有りだね」
「そうだな! 千代と二人でいれて野球出来るの最高」
「私も!」

その言葉と同時に俺に向かってくる白い球。
千代に球を返せば、千代は投げるのをやめてじっと白い球を見つめ、顔をあげると俺に近づいてきた。
不意に俺の唇は彼女の唇で塞がれた。
今日の彼女はやけに積極的だ。
絡めさせてゆっくり離せば彼女は小さな吐息を漏らした。

「なぁ千代。今日どしたの?」

首を傾げて問い掛ければ千代はニコリと笑うった。

「悠君への気合い入れだよ」

その言葉に俺の口角は少しだけ上がる。

「私の愛のパワー注入したからこれで大丈夫だね! ……四番として、頑張ってね」

自分の言葉に段々恥ずかしくなったのか千代の声は徐々にに小さくなっていく。
目の前にいる千代の腕を引っ張って抱き寄せる。

「そうだな! 千代の愛のパワー貰ったしこれで俺絶好調だ!」

大きな声で言ったら千代は俺の胸の中で小さく笑って腰に腕を回してきた。

「だから、見てて。俺のこと」

囁くように言えば千代は俺から少し離れて「いつも見てるよ?」と言った。

(や、それは嬉しいけどさ)

「千代のパワーを貰った俺も見て……てよ。俺、沢山アウトとって沢山打てる気がする」

千代は頷くとまた俺に抱きついた。

「甲子園、楽しみにしてる」

呟くように言われた言葉に俺は頷くと、

「連れてってやるよ! 俺は千代の為にチームの為に打つよ。千代の笑った顔見たいからね!」
「うん!」




愛のPower注入しました
 
 
(朝練始めたいんだけど何、あの甘い雰囲気)
(てかグラウンド入りにくいな)
(んー、青春だなぁ)

 
 
 
 
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これは二年生の話ですね
最後の()は上から阿部.花井.栄口君です
そうして田島君はサード・四番として
活躍していくのです\(^o^)/

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あきゅろす。
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