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小説(短編)
★興味×恋情∴真実?(黎深編)
―黎深編―
昏々と眠り続ける楸瑛に黎深は舌打ちしたい気分を抑えた。
医師に見せた結果は、矜持の高い楸瑛には死んだほうがましといえるもの。
『楸瑛様が飲まされた薬は・・・一度、その効果を発しない限り解毒できません』
つまりそれは、男に抱かれる恥辱に耐えろという言葉と同意語だった。
そろそろ、楸瑛は目を覚ますだろう。
無理やり昏倒させたとはいえ、藍家の四男。武芸の類には長けている。
綺麗な黒曜の瞳は閉ざされ、しかし、月明かりに浮かぶ滑らかな頬が、柔らかく光るぬばたまの髪が・・・男を誘う。
黎深はこみ上げてくる情欲に舌打ちした。
いつから、自分はこの若造に捕らわれていたのだろうか・・・。
はじめは気に食わなかった。
あの藍家の忌々しい三つ子の弟。
なのに・・・まっすぐ自分を見つめる瞳に・・・いつの間にか捕らわれていた。

「楸瑛・・・」
思わず黎深が楸瑛の名を呼ぶ・・・。
すると、
ゆっくりと美しい夜明けの色が黎深を映す。


「れい、しん・・・どの?」

潤んだ瞳が黎深だけを映して・・・紅い唇が名を紡ぐ。







理性の、限界だった。

「んっ」
黎深からの荒々しい口付けに楸瑛は目を見開いた。
「はぁ・・・れい、深、どの?」
「お前が悪い」
言いながら、黎深の手が楸瑛の下肢に伸びる。
「はぅっ」
薬が効いている楸瑛はびくりと体を震わせた。
「や、なにぃ」
「あの小物の飲ませた媚薬だ。安心しろ。奴より数倍良くしてやる」
「ま、・・・・・れいしんど、ひゃあぅ」
既に先走りで濡れている楸瑛を掴んでゆっくりと上下に動かすと堪らない声で啼く。
「ひゃあああっ あ、んくっ やあぁ」
襟元に手を伸ばして胸の飾りに触れると、声はさらに甘くなった。
「あ、ひゃっや、れい・・・だめぇ」
可愛く抵抗されると余計に征服したいと思う。
「駄目?どこがだ?お前のココはこんなに良さそうだがな」
「ひぃくぅ」
冷めた声音で詰って・・・黎深は興奮する自分を抑えられなかった。
足の狭間に手をやって、後ろに触れる。
弛緩した体は、黎深の指を簡単に呑み込んだ。
「やああぅ、なにぃ・・・や、めてぇ」
「嫌ではないだろう、ほら、ココが」
「やあああああああっ」
一番敏感な部分を攻められて楸瑛の喘ぎがこだまする。
「あく・・・いや、ぃやぁ・・・こわいっいやだぁ」
泣きじゃくる楸瑛の姿さえ、煽る材料にしかならない。
「やだぁ・・・いやあ・・・たすけてぇ・・・」
助けを求める楸瑛の心に居るのは、あの忌々しい三つ子か、それとも弟か・・・。
不毛な考えに自嘲して、黎深は体を進めた。
ぐっと・・・楸瑛のナカを凶器が貫いた。
「ひゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
悲鳴が闇夜を裂く。
ぼろぼろと大粒の涙を零しながら、楸瑛は震える唇を必死で動かした。
それしか縋るものがないとでも言うように、ただただ呟く・・・。
「たすけて・・・たすけてぇ・・・こわい・・・黎深どのぉ」
「っ」
ひたすらに黎深を呼び続ける楸瑛に瞠目して、しかし、黎深は己を抑える事が出来ずに楸瑛のナカで果てる。その感覚に果てた楸瑛は「黎深殿」と呟いて、意識を失った。







事後処理をした後。
黎深は楸瑛が自分を呼んだ意味を図りかねていた。
どうして、彼は自分を呼んだのだろう・・・。
激しい情事の後でさえ、さらさらとなびく髪を梳いて黎深は楸瑛を見つめた。
「れ・・・しん・・・どの」
柔らかく、唇が黎深の名を紡ぐ。
ゆっくりと楸瑛は目を開けた。
「え・・・・・っっっつ」
目の前にある黎深の顔に戸惑った後、すぐに状況を理解したのだろう、起き上がろうと体を動かす。
「いくらお前でも、無理だ」
激痛に悶絶した楸瑛に、心とは裏腹な冷たい言葉を投げる。
「っ・・・・・・・・・・・れい、しん、どの」
楸瑛は意を決したように黎深を見やると、静かに口を開いた。
その瞳は苛烈。黎深が一番気に入っている色だ。
「何故、あのようなことを?」
「あの薬は効果を出さなければ治らない特殊なものだそうだ」
「・・・・・・・・・・・・・だから、抱いたのですか?」
「そうだ」
と、しか言えなかった。
自分が彼に好かれるなど有り得ない事だ。
「あなたはっそのまま放って置いてくれればよかったのにっ」
「絳攸が気にする」
「っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あなたの、中の一番は・・・絳攸ですか」
ふと、声の質が変わった。
不審に思った黎深が見やった先には泣きそうな顔。
「んな・・・ふうに・・・・」
耐えられないとばかりに楸瑛が言葉を紡ぐ。
「こんなふうに・・・・・期待させられるぐらいなら・・・」
「おい?」
「っこんなふうに、期待させられるぐらいなら放って置いてくださればよかったのです!!ならば、私も望まなかったっただ、見ているだけでいいと・・・・・なのにあなたはっ」
慟哭が、室に響く。
「こんなっもう、抑えていられないっあなたのせいですっこれ以上っ私をかき乱さないでくださっ」
楸瑛の言葉の途中で黎深は彼を抱き寄せた。
「っ・・・」
腕の中で体を硬くする楸瑛が愛おしい。
素直にそう思えた。
「れいし・・・」
先ほどの言葉は、ずっと求めていたものと同意語だ。
「楸瑛」
低い声で名を呼ばれて楸瑛は息を呑む。
「お前、私の事が好きか?」
疑問の形をとっているが、それは確信。
楸瑛は唇を噛み締めた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・そう、ですよっそう、言えば満足ですか?!迷惑な事ぐらい知っています!!心配されずとも・・・」
「誰が、迷惑だと言った」
楸瑛の声を黎深が静かに遮った。
「誰が、迷惑などと言った?勝手に解釈するな」
「黎深殿?」
「お前は、私のものにならないと思っていたが・・・」
驚く楸瑛を感じながら、黎深は自然と笑みを浮かべていた。
それは、彼にしては滅多にない優しく、嬉しそうな微笑。
「楸瑛、私が好きと言ったな。なら、離れるな。他を見るな。私のものでいろ」
黎深の言葉の真意・・・。
気付いた瞬間、楸瑛は黎深にしがみついていた。
「誓えるな」
「はい・・・はいっ黎深殿っ」
「黎深でいい」
「黎深・・・」
華のように微笑んで、楸瑛は自ら黎深に口付けた。



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あきゅろす。
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