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小説(短編)
★monopolistic(龍蓮×楸瑛)
「何…してるの?」
夏の羽林軍は暇だ。
しかし暑さに負けて罪を犯すものも勿論いる。
楸瑛は騒ぎの鎮圧に来た帰りだった。
これから、更に仕事がある。なのに…目の前には、久しぶりに見る愛おしい弟。
何故と聞きたくもなるだろう。自分は今からもう一仕事あるのだから。
しかし、龍蓮はどこ吹く風だ。
「龍蓮?」
「久しぶりだな。愚兄」
相変わらずの台詞に楸瑛は頭を押さえた。
「…………」
数拍空けて彼は会話を諦めた。
簡潔に要件だけ告げる。
「今、混乱しているから邸に戻ってなさい」
「混乱?」
「そう」
「だが、収めたのだろう」
「念の為だよ」
「……………………………ところで」
「私は今から仕事だよ」
龍蓮の台詞を先読みして答える。
「どうせ後始末だろう」
「生憎とそうでもないんだよ。
皇将軍と模擬戦があるから」
開始直後に事件が起こったからねと楸瑛は溜息まじりに呟く。
「………」
無言で見つめてくる弟に楸瑛は彼の言いたい事を正解に理解した。久しぶりなのだ。自分だってゆっくりしたい。
しかし、この模擬戦だけは避ける訳にはいかない。
「いくらなんでも無理だよ。大将軍の直命だし…」
早く終わらせればいい…そう強い視線が訴える。だが…それも無理だ。他の相手ならともかく自分と同等の将軍職にいる人物なのだから。
簡単に勝てる相手ではない。
楸瑛が言いたい事に気付いたのだろう。龍蓮は鼻を鳴らした。
「仮にも羽林軍で三指に入るのだろう」
「だからって皇将軍相手に簡単に勝てる訳ないだろう?」
ほんの一瞬でも、気を抜いたら負ける。
「私が負けると、黒大将軍が怖いからね」
楸瑛1人に被害がでるならまだいいが、左羽林軍全体――特に下っ端で大将軍について行けないもの――が被害に会うのだ。
『将軍っお願いですっお願いですから、負けないでくださいっ』
毎回毎回、涙を流して訴えてくる部下達が哀れだ。
楸瑛がまだ一度も負けていないから余計に恐ろしい。
余談だが、楸瑛は右羽林軍の武官達からも、
『手を抜けとは言えませんっですがっですがっせめて、引き分けにっ』
などと言われ、
仕方ないから引き分け一歩手間でいつも勝ち(引き分けなどしようものなら更に恐ろしいから)、皇将軍からは
『いつもすまない』
と、謝られている。
「だから…戻って」
待っていてと言う前に龍蓮が楸瑛を引っ張った。
「んっ」
いきなり唇を奪われて楸瑛は言葉も出ない。
「ならその間の料金は貰うぞ」
「何言ってっ」
というかどこで覚えてきたんだっ!!
楸瑛の心の声など無視して龍蓮は意地悪く笑うと細い腰を引き寄せる。
「あっ」
無防備な双丘を揉む手に楸瑛は息を詰めた。今ここで、好き勝手されてはたまらない。
「や…めてっ」
悪戯な指先が楸瑛の蕾をつつく。
「だっ…めっ」
本気で抵抗したいのに口から出るのは、弱々しい…ともすれば誘っているかのような声。
いつもそう、龍蓮相手には体が言う事を聞かない。龍蓮の自由にされる。
でも、今日だけは…
「りゅうっ」
楸瑛の言いたい事に気付いているはずなのに、龍蓮は素知らぬ顔で楸瑛の前を握り込んだ。
「ああっ」
強く握られて口から嬌声が迸る。
「やっ…やっ…やだっりゅうつ…いやっ」
楸瑛の意など介さず、龍蓮は楸瑛を追い詰める。
「あっあっ…やめっ…だめっほんとっに」
楸瑛は必死で龍蓮を止めようとする。
「りゅうっ…んっおっ願っ」
「この状態で辛いのは兄上だろう」
「あっ……ぁあっゃっ…いまはっ」
途切れ途切れに楸瑛は言葉を紡ぐ。
「ま…けたらっ…かんた…にっかえって…これなっく…なるっか…らぁ」
「だから?」
「帰ったらっなんでもするっなんでもするっからっゆるしてっ」
「その言葉…忘れるなよ」
コクンと楸瑛が頷くのを見届けて、龍蓮は彼を解放へと導いた。
「ああっ―――ぁ」
「早く…終わらせろ」
息を整えながら、楸瑛は頷くしか出来なかった。






「藍将軍?」
はぁと溜息をつく楸瑛の色っぽさに皇将軍は思わず声をかけた。
「あ…なんでもありません」
様子のおかしい楸瑛に右羽林軍が沸き立つ。
もしかしたら…勝てるかもしれない。
対する左羽林軍は真っ青になっていた。
もしかしなくても…負けるかもしれない。
両軍の期待と不安その他諸々が最高点に達しそうになった時…。
「おうっ初めるぞ」
大将軍が開始の合図を放つ。
はあと先程より大きく楸瑛は息をついた。
それから、皇将軍を見る。
「先に謝っておきます。皇将軍」
「藍将軍?」
皇将軍が疑問を口にする前に大将軍が2人を呼ぶ。
「負けんじゃぁねぇぜ」
「…………」
叱咤激励され、両将軍が立ち位置にたった。剣を構える。
ひらりと風が吹いた。それは、一瞬の事。



皇将軍の首筋に楸瑛の刃が突き付けられていた。



シンッと空気が冷える。
ゆっくりと楸瑛は剣先をおろした。
「大将軍、本日は帰ってよろしいでしょうか」
「おい、楸瑛」
「…勝ったからな」
「ありがとうございます」
「勝ち逃げか、こらぁ〜」
叫ぶ雷炎の声を背に楸瑛は帰路についた。








「ぁ………………」
龍蓮の離れについた途端、押し倒された。
そのまま口付けられる。
「んっ…んん…ぁ」
微かな衣擦れの音と共に龍蓮の手が楸瑛の胸に伸びる。
「は……ん」
「嫌に感じ易いな」
「あっ……」
一瞬で片を付けたとはいえ、ほんの少しでも遅れたらこっちがやられていた。
未だ興奮覚めやらぬ体の反応を揶揄されて楸瑛は真っ赤になる。
「うるさっああっ」
「よくよく学ばぬな、愚兄」
そんな事を言ったら煽るだけなのに…。
「あんっやぁ…ふっ…んん…」
感じ易い先端を引っ掻いて立ち上がる胸の尖りを摘む。
「やっ…やっ」
そうしながら龍蓮の手は楸瑛の下肢をいやらしく弄んでいる。
「あぁ…あっ……もっぁ…ぃぃ…だめ…」
早くも限界を訴える楸瑛に笑いながらも龍蓮自身限界だった。
ずっと楸瑛の艶姿を見ていたのだから。
「あっあっ……りゅうっだめ…はゃくっ」
ねだる声に煽られたのは龍蓮も同じ。
このまま早急に体を重ねてしまい欲求が龍蓮の中に満ちる。
「りゅうれん」
でも、傷付けたい訳じゃない。今そんな事をしたら楸瑛の体が持たないだろう。
強すぎる快感は苦痛と同意語だ。
それに、イカした後に攻める方が反応が顕著で素直だ。
「あっ…あっ……りゅうっちょうだ…ぃ」
「一度イケ」
後の下心を綺麗に隠して龍蓮は楸瑛に更なる刺激を与える。
「あっ……ぁあっ…んっ…ぃっ…ィ…ク…だめっりゅうれんやぁ…あっ……あ―――」
弛緩した体に笑って、龍蓮は指についた白濁とした液体を舐める。
楸瑛が抗議する前に後ろを撫でた。
「あっ……」
指先が奥に入ろうとした時…
「失礼致します、楸瑛様っ」



馬鹿でかい家人の声に龍蓮は不快そうに顔をあげた。
まだちゃんと喋れない楸瑛に代わって口を開く。
「何か?」
不機嫌になるのは仕方ないだろう。
そもそも家人もここで楸瑛と龍蓮が何をしているか知っている。だから滅多な事がないと来る事はないのだが…わかっていても不快は不快だ。
家人は龍蓮の不機嫌をわかっているだろうが口早に要件を告げた。
「羽林軍の方が楸瑛様と…夕方の賊の仲間が出たとの事です」
「常駐の羽林軍で事足りるだろう」
思わず龍蓮は疑問を口にしていた。わざわざ楸瑛を呼ぶ必要などない。
「それが…お酒の匂いが…」
間の悪さに龍蓮は舌打ちした。
「全く…」
龍蓮の不機嫌の理由がわかる家人は黙って主の言葉を待つ。
「……わかった。すぐ行くから待たせて」
「かしこまりました」
「楸兄上っ」
家人と龍蓮が同時に口を開いたが楸瑛は家人に再度命じる。
「兄上っ」
「仕方ないだろう」
「っ……………約束が………違う」
「………ごめんね」
悲しそうに笑って楸瑛は身支度を整える。
「じゃあ…行くから…わっ」
思いっきり裾を引かれた。
「んっ…………」
「私も行く」
口付けて、不敵に笑う龍蓮に楸瑛は苦笑した







藍邸の一室で楸瑛を待っていた武官達は突如やってきた吹雪に硬直した。
吹雪の向こうからやって来たのは上司と…髪を一纏めにして高く結い上げた見目麗しい少年…。しかしその少年の恐ろしい殺気に武官達は息を呑む。
そんな中、上司はといえば普段結っている髪を下ろしていて、どこかいつもより艶っぽい。―――こんな状況でなければ涙を流して喜んだだろう。
武官達の様子に気付かず楸瑛は彼らを見やる。それだけで状況がわかってしまう自分が悲しい。
「で…どうした?」
わかりきっている事を楸瑛はあえて口にした。武官達が口早に話す―曰わく…こうだ。
皇将軍が楸瑛に負けた為右羽林軍はしごきのため遠く(あえて場所など知りたくない)に行き、左羽林軍も浮かれて酒を飲んでいて、常駐の兵も浮かれていて…そんな中賊が現れたのだ。
酒を飲んでいた上士官クラスがいなかったので統率がとれずひとまず楸瑛を呼びにきた…と。
「嘆かわしいな」
ぼそりと呟いた美少年に武官達が鼻白む。
「龍蓮」
静かな一言に龍蓮は口を閉ざす。
武官達は目の前の美少年が上司の奇天烈な弟だと知り驚いたがひとまず事態を収めようと出て行く楸瑛についていった。






賊の男は何かを喚きながら刀を振り回す。兵がとめようとするが、届かない。
「あいつを捕らえた将軍を出せぇっ」
叫ぶ男に息をついて楸瑛は一歩踏み出した。抑揚を欠いた声で尋ねる。
「私に何の用だ」
「てめぇか…」
楸瑛の姿を視界に収めた男は下卑た笑いを口元に刻んだ。
「へぇ…美人じゃねぇか…本当に将軍か」
「試してみるか?」
余裕の態度で楸瑛が切り替えす。
「やってもらおぅじゃねぇか」
男の剣が楸瑛に振り下ろされた。苦もなくうける楸瑛。
同時に男の仲間も兵達に襲いかかった。
酔っていても精鋭羽林軍。統率がとれていれば負ける訳がない。
しかし…。
「うわっ」
1人の兵が加減を誤り敵の剣を飛ばした。そこにいたのは…小さな少女。
とっさに楸瑛は身を翻していた。



ガキンッ



鈍い音と共に楸瑛の剣が刀を振り落とす。
だが、僅かにできた隙を見逃す敵ではなかった。
猛然と楸瑛に剣を突き出す。
「くっ」
うけた楸瑛の手首に激痛が走った。こらえて返す。
「覚悟っ」
男がもう一度剣を振りかざした。



キンッ



不釣り合いな程澄んだ音に皆が驚く。
龍蓮が楸瑛の前に立っていた。
「龍…」
「全く…精鋭羽林軍が聞いて呆れる」
それは、楸瑛以外に放たれた言葉だった。楸瑛以外にも動ける者はいたというのに…。
「龍蓮…この子を」
楸瑛の言葉に龍蓮は頷いた。これは兄の仕事だ。
走ったのは…一閃。賊の体が傾ぐ。
終わりは呆れる程呆気なかった。



後始末の最中、楸瑛は龍蓮に裏道に連れ込まれた。
「龍蓮?まだ…ん」
楸瑛の言葉は龍蓮の口に消える。
「苛ただしい」
「龍…蓮?」
「兄上は甘い。こんな怪我までして…」
龍蓮の手が楸瑛の利き腕に伸びて、そっと口付ける。微かに痛みが走った。
「んっ」
そのまま龍蓮は楸瑛の手首を布で固定する。しばしの沈黙。
「ありがとう」
「…人の約束を守らぬからこうなる」
「…ごめん…心配してくれてありがとう」
「礼なら別のものがいい」
「んっ……ふぅ」
息も奪う口付け。手が首筋から下へと下がる。感じる場所を押さえた。
「あっ……ん」
唇が首筋をなぞる。
「だ…め…」
「………約束…守って貰うぞ」
「んっ」
しかし…楸瑛は気付いてなかった。楸瑛を呼びにきた武官達がそこにいた事に…。
龍蓮がわざと彼らに見せ付けるように首筋に吸い付いた事に…。
龍蓮が勝ち誇った笑みを口元に刻んだ事に…。

最後まで気付かなかった。








「はんっ…あぁ」
室内に甘い楸瑛の声が響く。
快感に身を震わせる楸瑛に龍蓮が笑う。
ゆっくりと体を這う手に抵抗しようにも…出来ない。
楸瑛の利き腕は臥台の端に括りつけられて動かすと痛みが走る。
開いた片手は敷布を掴むのに忙しく、どうにもならない。
「あんっ」
龍蓮の指が楸瑛の中を擽る。
ヒクヒクと反応する体を愛おしいそうに眺めて龍蓮は指を引き抜いた。
「ゃっなんでっ」
「何でもする…そう言ったな」
それは紛れもない自分の言葉。
龍蓮は楽しそうに笑う。
「なら…どうして欲しい?」
「ぁっ……」
息を呑む楸瑛の抵抗をほんの僅か足を開かせてとめる。
「楸兄上」
「っ…ちゃんと……さわって…」
「どこを?」
「っ…………わかるっくせにっ」
「言え」
耳元で囁かれて体が痺れる。
「んっ…か、らだっさわっ…てっ
ぜんぶっ…ねっ」
求める以上の言葉を吐き出した楸瑛に龍蓮は嬉しそうに頷いた。
正直、散々耐えてきた身としては限界だ。
兄を攻め立てるのは明日にしようと誓って、龍蓮は早急に体を重ねた。
「やっああんっ…」
圧迫感に楸瑛が息を詰めたのがわかった。優しく髪を梳く。
「楸兄上」
「んっぅん…いい…よ…うごいて」
「かわいい」
「ふぅんっ…ぁあっ…あっあっ……やぁ…いっ…りゅうれんっ」
「かわいい」の一言に反発せず喘ぐ楸瑛に龍蓮は笑う。からかうネタが出来た。
内心は結構余裕だが、体は違う。キツイ締め付けにもっていかれそうだ。
「ぁっ…ああ……りゅうれんっ…だめっ…もぅ……イっちゃうっ…だめっ」
「イケ」
「ふぅ…んっんっ…ああ…やっああああ」
「くっ…」
そのまま意識を飛ばした楸瑛を抱いて龍蓮は兄の目元に口付けた。






目覚めると龍蓮の顔かあって、楸瑛は思わず破顔した。
縛られていた手は外されてきちんと包帯が巻いてある。
楸瑛は知っていた。
激しい行為の最中、何も考えてられなくなった自分が怪我をした手を気にする事なく更に悪化させてしまう事を。
だから龍蓮は腕を縛ったのだ。
龍蓮の行動、一つ一つが楸瑛の為…知っているから…。
何故かまだ中にいる龍蓮の行為だって許してしまう。
微かに龍蓮が身じろぐ度にもどかしい快感が体を駆け抜けるけど、どうせ明日は休みだ。
楸瑛は息をつくと龍蓮が起きるまでの僅かな時間を休息に当てようと弟の腕の中で眠りについた。



すいませんっ…こんなんになりましたっ。
もっと鬼畜な方がいいです?
あ〜すいませんっいくら読んでも駄文…。
こんなんにでよかったら貰ってやってください。
よろしければ感想も…(図々しいにも程がある+こんな駄文で何書けと?)
それでは、失礼致します。

真 拝


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あきゅろす。
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