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小説(短編)
★興味×恋情∴真実?(絳攸(黒)編)
―絳攸編(黒)―
はぁ…と絳攸は本日何度目になるかわからない溜息をついた。
(あの豚…)
黎深が脅さなければ自分があの男をどうにかしていただろう。
眠っている楸瑛の襟元から覗く白い肌に、ぞくぞくする。
「んっ」
不意に、楸瑛が呻いた。
「ふ…ん…ぅ…ゅ…う」
?ゆう?
「ゅ…うぅ」
ゅう?一体誰のことだ?
疑問が頭をよぎった瞬間。思い出した。
彼が弟を呼ぶ時…「龍」と呟いていたことを。
カッと血が滾ったような気がした。
弟を呼んでいるのだろうか?
今…彼の前には、自分しかいないのに…。
訳のわからない衝動に呑まれた絳攸は、ゆっくりと楸瑛に覆いかぶさった。

「んっ…」

柔らかい唇を貪る。
「ふ…ぁ…ふぅ…んっ」
鼻にかかった甘い声が欲を刺激する。
「楸瑛…」

その呼びかけに応えるように…。

「ぁ…な…え?…こ、ゆう?」

楸瑛の目が絳攸を映す。

「ど…して…」

見開かれた瞳にうっすらと絳攸は微笑んだ。

強い欲望を滲ませて…。







「あはっ…ひゃぁっ」
強く楸瑛自身を擦って、絳攸は笑う。
「嫌…じゃ、ないだろ?」
「んふっ…なんで…こ、な…きゃああっ」
乱暴に突き上げられて、楸瑛の問いは途中で嬌声にとって変わる。
「ん?お前が飲まされた薬な…誰かに抱かれないと解毒できないそうだ」
「だ…からって…こんなっ…どうし…はぁああん」
「俺相手じゃ不満か?」
「ち…がひゃあああああ」
荒々しく貫かれて、楸瑛の問いは言葉にならない。
「だが、生憎ここにお前の弟はいないからな」
「え?」
「隠さなくてもいい」
「こう…はっぁああああああああああああ」
「今この時だけは…お前は俺のだ」
「あんっあはっ……まっってぇ…なで…りゅ、が」
「いいから…黙れ」
「ひゃあんっ…こう…ゆぅ」
「楸瑛…楸瑛…」
「あっ…も…だめぇっ」
「っ…イケっ」
「ひゃああああああああああああああ!!!!!」
楸瑛が意識を失う瞬間、どうして…と零れた言葉に、絳攸は答えられなかった。







「ん…」
意識を取り戻した楸瑛が最初に見たものは、真っ青な顔をした絳攸だった。
「こう、ゆう?」
「っ…」
泣き出しそうな絳攸の顔に驚いて、楸瑛は自分の身に何が起こったかを思い出した。
絳攸が何故、そんなに追い詰められているかも…。
「すまない…」
本当に辛そうな声…。
楸瑛は知らずに微笑した。
「どうして、謝るの?」
湧き上がってくる笑いを噛み殺して、楸瑛は尋ねる。
「それは…」
「私を無理矢理抱いたからかい?その気もないのに…」
「ちがうっ」
「ちがうの?」
「いや…お前を無理矢理抱いたのは…」
「なら、同じじゃないか」
「だからっ」
「そもそも、抱かないといけなかったんだろう?なら絳攸が気にする必要ないじゃないか」
「っだからっ」
「でも、知らなかったな。絳攸があんなに上手いなんて…誰でも抱けるなんて、ね」
「っだからっちがうと言っているだろう!!」
「んっ…」
自分の話を聞かない楸瑛に焦れて、絳攸は強引に唇を塞いだ。
「あ…ふ…んっ」
「俺は…何とも思ってない人間にこんな事しない…
お前だからだ…楸瑛だから…」
「でも、龍蓮がどうとかって」
「あれは…お前が『ゆう』って」
「つまり、私が弟に抱かれていると思ったんだ」
「だからっ」
「っ…ふ…あはははははははっ」
余りに焦る絳攸に、楸瑛はとうとうふきだした。
「楸瑛!!」
いきなり笑われて、絳攸は怒鳴る。
「ねぇ、絳攸」
笑いを抑えながら、楸瑛は絳攸を見つめる。
「な…んだ」
その姿が余りに綺麗で、絳攸は思わず口ごもる。
「ゆうって、他にいると思わなかったの?」
「他?」
「そう。他だよ」
「………………………………そんな奴、いたか?」
「ぷっ…あのねぇ…君の名前はなんだったっけ?『こうゆう』」
「は?………………………………あっ///」
「わかった?」
「な…んで…嘘だろ…どうして…俺…?」
「あのね…君以外の誰がいるの?」
「っ///」
「絳攸。聞かせて?どうして、私を抱いたの?どうして、龍蓮だと思って…あんなに酷くしたの?」
「っ…だからだっ」
「何?」
「お前が好きだからだっ」
「本当?」
「嘘なんてつくかっ」
「ふふ…ね、絳攸」
「なんだっ」
「好きだよ?忘れないでね。君が相手だったから、おとなしく抱かれたってこと」
楸瑛の一言に、絳攸はこれ以上ないほど真っ赤になった。



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