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あれから二人、エーリルとユーリはまだまだ話し足りないと、話し込んでいた。
見知らぬ土地で気心が知れた相手同士。ユーリは分からないがエーリルにはそれも大きかった。



「此処のご飯めっちゃ美味いのよ」
「まぁ確かに良かったなぁ。食いっぱぐれるとこだったけどよ」


本日この駐屯地に到着したユーリだったが、初日から命じられた仕事に飽きて、まだ作業が残っているのも関わらずフレン一人武器庫に置いて何処かに行ってしまったらしい。



「あれはユーリが仕事サボったんでしょ?当然じゃん。あー、今度コックさんと仲良くなってレシピ教えても〜らお〜」
「そん時はケーキでな」
「いや、ケーキは知ってるし」
「いやいや、騎士団流のここじゃねぇと知る事が出来ない幻のケーキレシピが有るかもしれねぇぜ?」
「有ったらそん時は呼んであげるわ」


「…ケーキ食いてぇ」
「自分で作ればいいじゃん。作れるんだし」




ごろごろと相変わらずベッドに寝そべりながらのエーリルと、縁に腰掛けて足を組んで寛ぐユーリ。

まるで騎士団に身を置いている事が嘘の様なまったりとした空気の中に、先程と同じ用にノック音鳴った。



「エーリル、フレンだ」



その声にエーリルとユーリはお互いの顔を一度見遣り、背後へと振り向く。


「おいでなすったぜ」
「で〜すねぇ。はーい、待って今開ける」



よいしょ――と、エーリルが飛び起き、扉へと向かう。


「お待たせ」



扉を開ければ想像した通りの人が想像した通りに、そこに居た。





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「遅いけど、今からちょっと良いかな」
「明日が初日だから早めに帰らせてくれるならいいよ?」
「判った」


エーリルが首を傾げて、試すような笑みを浮かべキッパリと答えると、相変わらず眉毛が中央に寄ったまま、キッパリとフレンは応えた。

今日も仕事はしたが、赴任予定の新米騎士が全員揃った事で、明日から正式にシゾンタニア部隊として配置されているナイレン隊の一員として責務を果たすのだ。初日といっても雑務がほとんどだろうが、それでも万全の状態で明日を迎えたい。
時刻は寝床に入るにはまだ早いと感じる時刻だ。明日に備える時間は有る。


「それじゃ、行こう」
「はーい」



フレンが此処ではない場所へとエーリルを先導するべく、姿を入口から消す。



「ユーリ」



そのやり取りを黙って眺めていたユーリへ、エーリルが振り返った。


「おやすみ、鍵そのままでいいから」
「おぅ」


ぶっきらぼうに応えて見送る。
部屋主が出ていった閉じられた扉を眺めてれば、胸の中は何故か面白くない気持ちに遊ばれるユーリであった。





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あきゅろす。
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