心の準備はできた?

※下ネタ&直接的な台詞有



別に同じものを返して貰おうだなんて思ってない。


そうは言っても欲しくなってしまうのが人の性ってもの。






















「不公平ではないか」


正に今行為に至ろうっていう時になって至極真面目な顔をしながら不公平だと言い出した男を見下ろす。
ベッドの上に座っている彼の上体を押し倒そうと跨がっていた自分からすれば、とても空気の読めない台詞だ。
しかしいつもならあたふたしながら微妙な抵抗を繰り返す彼にしては落ち着いているので、多分この状況を打破する為ではなく本当にただ呟いただけなのかもしれない。
無視して行為を進めるのは容易だが、後が煩いのは解っているので、仕方なく動きを止めた。


「…………何が」


多少の間を経て、問い返せばモゴモゴと口ごもる。
…訊かないで押し進めてしまえば良かったかと僅かに苛ついたが、訊いてしまったものは仕方がない。
根気よく待っていると、男はキッとこちらを睨み付けた。
生憎と全く怖くもないが。
しかし平然としているとムキになるだろうし、その場合ムードも何も無くなってしまうだろうから僅かに肩を竦めておいた。


「何故我がいつも抱かれる側なのだ」

「……何、君は僕を抱きたい訳?それはまた随分と積極的なお誘いだね」

「ち、違うっ!」

「あ、違うの。じゃあこのままで良いじゃないか」

「…と、とにかく不公平だ。我ばかりがつらくて毟り取られているではないか」

「不公平ねぇ……」


言いたい事は解らないでもないが、つらいとはあんなに喘いでおいてよく言う。
しかも自分ばかりとは。
本当に欲しいものなんて何もくれやしないクセに。
言葉なんて何も紡がない。
触れれば身体を震えさせて。
むしろ好きなのは僕だけじゃないのかとか、触れる度らしくなく不安になって。
あァやだやだ。マイナス思考なんて僕らしくない。


「別にね、逆になる事自体は構わないんだけど」

「い、良いのか?」


そのリアクション、ちょっと酷いんじゃない。
そんなに僕って下手?
いやでも、今までちゃんと勃ってたしイった訳だし。
女と違って男はイったフリなんてできないから多分悦くないって事は無いと思うんだけど…
実際突っ込むより突っ込まれる方が身体的負担は大きい。
そう言われては譲るしかないと思うあたり、僕はそれなりに彼を大事に扱っているんだろう。


「まァ、構わないけど…君、できるの?」

「は?」

「だーかーら、僕に突っ込んでちゃんと最後までできる?童貞だからって突っ込んだ途端にイかれても困るんだよ」


テクニック云々はともかくとして、その点僕はちゃんと彼がイってから出すし。
セックスをするにあたって、身体的負担をかけるならそれなりに満足させる事は最低限のマナーだと思うんだよね。


「だ、誰が童貞か!」

「別に童貞だって良いと思うよ。早ければ良いってものでもないしね。ただこればっかりは童貞だと不安だな」


遠回しに嫌だと言っているようなものではあるが、彼はそんな事にも気付かないで顔を真っ赤にしパクパクと口を開閉させる。
まぁちょっとストレート過ぎた感は否めないが、不安なのは事実だ。
これまで女とも男とも寝てきたけれど、流石に童貞を相手にした事は無い。
処女だって女ならともかく、男は彼が初めてだったから、僕もそれなりに努力はした。
だから彼の、逆になりたいというのがただの思い付きならば、ちょっと勘弁して欲しいのが心情である。
まァ、無下にするのも可哀想だが、流血沙汰は避けたい。


「別に君が嫌ならさァ、挿れるの無しにしてあげるよ?」


挿入は男同士という条件下ではそれ自体に意味なんて無いと思う。
重要なのは、触れ合う濃度みたいなもの。
彼が僕のもので、僕が彼のものと認識できるか否か。


「そういう事ではない!ただ我は己ばかり悦くして貰えるのが心苦しく……ぁ」

「……………ふーん?」


何だ、やっぱり悦いんだ。
ついつい緩んだ口元はそのままに顔を寄せれば何だと返された。
つらいとか毟り取られているとか前置きはちょっとお粗末だったけど。
いやァ、赤らんじゃって可愛いなァ。


「……僕も悦くしようとしてくれたんだ?」

「だ、だからそれはその…」

「……自分が悦くて堪らないから僕にもって?」

「お、お主には羞恥心というものが無いのか?!」

「何か特典があるなら持つけどね」


羞恥心なんて持ってたら君と今こうしていられるとも思わないし。
そんな不必要なものに構っている暇があるなら、触れ合う時間を優先すべきだ。
特に、照れ屋で素直じゃない男が相手となれば尚更。


「………じゃあ、試しにしてみよっか?」

「……い、良いのか?」

「良いのかって」


クスッと笑う。
茹で蛸みたいな男の首に腕を回すと、おわっ、と間抜けな声をあげた。
それに構わず耳元に顔を寄せてちゅっと音をたて口付けると、ビクリッ肩が震える。
大丈夫かな、これで。と内心だけ苦笑を零した。


「…ちゃーんと、悦くしてくれるんでしょ?」

「っ、お主っ…!」

「ふふっ、真っ赤だね」


頬を撫でる。
手袋はとっくに外してあったから直に男の体温が伝わってきた。
心配になる位に高い体温が自分の所為だと思うと、得も知れぬ優越感に口元が緩む。
何だか若い少年を誘惑しているような、妙な気分だ。


「でも先に一回僕が上だよ」

「は?」

「…手取り足取り腰取りで、じ…っくり教えてあげる」


もう一度耳元に囁きかける。
彼は今度こそ羞恥心などという無粋な事は言わずに閉口した。
何だか若い少年を誘惑しているような、妙な気分ではあるけれど。
彼も自分も、何も知らない少年ではないのだから。


多少の意地悪は、ご愛嬌という事で。





















心の準備はできた?

(とりあえずフェラから教えてあげるね?)
(………(←既に挫けそう))



















相互御礼にヘロヘロ様に捧げます!
『卑怯と念仏』
相互御礼と言い切ります(殴)
御礼のクセに下ネタ多いとか救えない…
頑張れ念仏まずはフェr(殴)
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あきゅろす。
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