アイラブユー






「好きだよ」


中身なんて何もない感情の搾り粕を掻き集めて捏ね繰り回してどうにか残骸にしたものを君に押し付ける。
君はそれを至極大事なもののように受け取って抱きかかえて僕に笑いかける。
伸ばされた手が頬を撫でるとそれだけで世界は素晴らしいものに変わっていく。
キスを強請った。
欲しいと、手を伸ばした。
浅ましさに塗れた僕の欲望にも顔色を変えずに手は伸ばされた。
指を絡める。
唇を重ねる。
そのまま噛みついてせめて君の血の一滴でも僕の中に受け入れられたらと思う。
なんて、狂気染みた事を考えているだなんて絶対に君にだけは知られたくないと思う。


「好きだよ」


言葉を返して欲しいとは思っていない。
だから君が何かを言う暇も与えずにまた唇を奪う。
それを君はよく思っていないのか、喉を低く鳴らした。
それを僕は好ましいと思っている。
どこまでも懐深く受け入れる君が。
僕に苛立つその瞬間。
僕のような存在でも君という存在を掻き乱す事ができるのだという喜悦、優越、至福。


「……好き、」


だよ、と。
最後まで紡ぐ前に唇が重なった。
最後まで言わせてと喉を鳴らす。
君がそっと笑った。


「好きだ」


言葉を言葉として意味を噛み砕くのに少し時間がかかった。
耳元に落とされた囁きは僕を天国に押し上げていく。
地獄に落ちるのはまだ先であって欲しいけれど幸せな瞬間はいつまでも続かないとも知っている。
だとしても続いて欲しいと思う。
矛盾した考えも掻き捨てて、唇に吸いついた。










アイラブユー
(何度繰り返しても、足りないんだ)























シリアスぶってるけど結局バカッポー




あきゅろす。
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