二度ある事は三度ある


※下ネタばかりです
金剛が酷いです
金剛が酷…orz








人の好みっていうのは千差万別であるし大体にして余程のゲテモノでない限りは人に好かれて悪い気はしない。
しかもそれが可愛い女の子ならば尚オッケー。

長い睫毛を伏し目がちに、チラリチラリと恥ずかしそうにしながらも視線を寄越して放課後の体育館裏なんてベタな場所で好きです付き合って下さいなんて言われたら…まぁ立場上何の罠かと疑うけれど。

僕の好みはまぁどっちかと言えば出る所は出てて貰いたい派だけど好きになったら関係ない。
誰でも良いとは少し違う、この子を好きになるって思ったら多分それが恋だろうから。

諸事情からなかなか恋愛になんて現を抜かしていられなくとも僕だって立派な思春期だし、そりゃ女の子が好きだ(あんまり豪語してると変態っぽいけど世間一般的な意見だと思う)


なのに。


「だーかーらーっ!僕は女の子が好きなんだよっ!!」


一体何回言わせるんだこの変態は?!























何回も何回も何回も何回も何回も何回もクドイ位に口にした否定の言葉にも関わらず、我が物顔で自分を引き倒した末に覆い被さる男は未だ不思議そうに首を傾げている。
まるで「この人何言ってるんだろう一人で騒いで変な人」と言わんばかりの顔は、見ているだけでムカっ腹が立つが此処に至るまで散々、そう散々我慢してきた自分にはそれ位許されるのではないかと思った。
事の起こりはつい7日前。
この男…金剛が今のように僕を押し倒したのが悪夢の始まりだった。
いきなり家に押しかけてきたと思えば、玄関先で引き倒され濃厚な愛の告白をされ危うく貞操の危機を迎えかけた(思い切りジタバタして罵ったらションボリして帰ってったけど)
一体何だったんだ悪い冗談だろうと必死に思い込み翌日登校すれば、金剛はいつも通りで「何だやっぱり冗談だったのか」と笑って済ませたのが悪かった。
いやしかし誰がその日もやって来ると思うだろう(しかもその翌日にはまたいつも通りなのだ)
最初こそ玄関先や居間であったけれど、3日前には学校で押し倒された。
放課後で人気もなかったから良かったがあれで人が居たらと思うと考えるだけで気が遠くなる。


「…何が不満なんだ」

「全部っ、根本から!」


大体、何で告白前には必ず押し倒すんだ。
いや何もしないで告白ならオッケーとかそういう意味ではない。決してそうじゃない。
そもそも何がどうなって金剛がこんな事をするのか僕には全く理解できないし正直あまりしたくないのが本音だ。
かと言って腕力じゃぶっちゃけ勝てないので頃合いを見て罠を仕掛けてはいるものの馬鹿みたいに頑丈な金剛には全く効かないらしく今日も今日とて昨日に続きマウントを取られてしまった。
体格差を武器にするなんて卑怯だ金剛のクセに。


「僕は女の子が良いのむしろそれが普通なの解るだろそれ位」

「これを機にお前が女になれば…」

「なれるかァァァァァっ!!何そのアグレッシブな思考回路!?っていうかそれ物理的に無理だし要は受け身になれって事だろ遠回しに貞操捨てろって言ってるだけだろアンタ!!」

「大丈夫だ、童貞は守られる」

「掘る気満々な発言自重してホントマジでホモの君と違って僕は女の子が好きなの!っていうか童貞じゃないっ!!」

「人類は皆ホモサピエンスだぞ」

「何誇らしげに言ってるんだよサピエンスの意味知ってんの?!僕が言ってるのはホモセクシャルのホモ!!ゲイ!!オッケー?!」

「…なら俺が女に、」

「なれないのっ!特別な手術しないと男は女になれないのっ!!っていうか君どんだけ必死なんだよ?!」

「それだけお前が好きだからだ」

「っ……」


怒鳴り合った末、仕方がないと離れる金剛が今日はいつもと違う。
成程少しは学習しているのか。何時になく真摯な眼差しに思わず胸が高鳴ったのは幻聴だと思いたかった。


「好きだ」

「っ……君、それ計算か何か?」


いきなり真面目に告白するのはずるい。
最初こそ「お前に突っ込みたい」とか情緒の欠片もない台詞だった告白は、7日目にして最もシンプルな、それでいて胸にくるものとなってしまった。
すがるように見下ろしてくるから、つい可哀想だな、なんて思ってしまう。
別に自分は悪い事などしていないのに、責められているような気分になるのは一体どういう訳か。


「っ〜…解った、解ったよ。話ちゃんと聞くから…っていうか、何で僕かなァ」


とりあえず、少しは話を聞いてみようか。
いつも怒鳴り合ってばかりで、マトモに取り合った事などない。
だからこそ解らないままにしている事が沢山あるのだろう、といつもより自分もずっと柔らかい態度に出てしまったと思う。


「顔が好みだ。泣かせたい」

帰れぇぇぇ!!


それがいけなかったと気付いたのは、1秒も経たない内だった。
あーはいはい解ってた。
果てしなく後悔するって解ってたさ。
だけど顔面強打は許して貰えるだろう。
ついでに急所を蹴りあげた事も勘弁して貰いたい。


「っおま…そ、其処は流石に……!」

「むしろ其処蹴られてもまだ平然としてたら怖いよっていうかそんな(自称)鉄棒みたいな堅いの挿れようとしてた訳?!余裕で裂けるよ!!泣く前に死ぬよ!!」

「そうか受け入れる気になってくれたか!」

「どこをどう聞いたらそうなるんだよもっかい蹴ろうか?!」


流石の金剛も急所を蹴られると涙目になるらしい。
今度から言い争う前にこうしてやろう、そうしたらそう頻繁には押し倒して来ないだろうし。
そんな、金剛にしてみたらとんでもないだろう事を本人に許可をとるまでもなく決定事項にしておいた。


「…勢い余って本音が出ちまった。やり直させてくれ」

「いや今本音って言ったよね泣かせたいって本音なのマジで」

「マジだ」

「尚悪いわァァァァ!!」

「いや、だからやり直させてくれ」


何やら必死である。
そんなに突っ込みたいのか泣かせたいのかコラ(ちょっと荒んできたよ僕)
ケッとばかりに顔を逸らしていると、金剛が弱々しい声で僕を呼んだものだから先程の後悔はどこへやらうっかり反応してしまう。
また調子付くんじゃないだろうなと目で威嚇しながらも杞憂だったのか、金剛は叱られた子供みたいに肩身を狭そうにしていて、やっぱりいじめている気分になった。


「……何」

「俺は…男が好きなんじゃなく、お前が好きなんだ」

「……で」

「素顔とか笑顔とか剥き出しの腹筋を見ているとムラムラする」

「ごめんそろそろ蹴って良い?」

「あ、いや、だからっ…す、すまねぇ!」

「……三度目の正直って言うしね。ラストチャンスだよ」

「……っ〜〜〜〜〜俺は!」


流石に追い詰められたのか、金剛が馬鹿みたいに大きな声を出す。
肩をガシッと捕まれると、不覚にもまた胸が高鳴った。
三度目の正直、という自分の言葉が頭を過り、そして。




















「三日三晩お前の中に挿れてても萎えない自信がある!!」

そんな自信は隅田川にでも流して来い変態


















本日2度目の急所蹴りに、金剛が唸ったのは言うまでもないだろう。






















二度ある事は三度ある

(…卑怯番長)
(何、念仏番長)
(先程から…金剛番長がジッとお主を見ているが…)
(気のせいじゃない?っていうか、金剛番長って誰だっけ?)
(金剛番長、突然泣き出されてどうしたのだ?!)
(……気にしないでくれ、居合番長(グスッ))














9090番を踏まれた人影様に捧げます

リクエスト内容
『金剛×卑怯でギャグ』




あきゅろす。
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