Affrontato対峙
「え!? セレネ達も学校行くの?」
学校へ登校途中。
さりげなくついて来ていた、例の護衛姉弟に不安がつのる。
「そうでなければツナさんをお守りできませんから」
さも、当たり前だと言うように隣を歩くセレネ
「っていうか、二人は多分校内に入れてもらえないと思うよ…?」
セレネとアルトは西洋人のそれらしく、背もわりと高い。男のツナでさえ、女のセレネを越せていないのだ。
どんなに若く見積もっても、"中学生"と言える見た目でないのは明らかだった。
「抜かりはないで、十代目。昨日のうちに校長に許可は取ってあるんで」
腕を後頭部で組みながら、少し変わったイントネーション…おそらく関西地方のなまりで話すアルト(いったいどこで覚えたんだ、という疑問はまた別の機会にとっておくことにする)
「表向きは、校内の警備員ということになっています」
"表向きは"を強調され、気が重くなった…
まぁでもこの二人はわりとまとも(マフィアである時点でまともではないのだが)なので、それ以上追求はしなかった。
(というか追求しても無駄だという事をツナはこの数ヶ月間で学んでしまったのだ)
―――・・・・
さすがに授業中まではツナの側にいられないので、今セレネは校内を巡回中。アルトは教室の外(おそらく屋上)からツナを見守っているはずだ。
先程リボーンの隠れアジトの一つに案内されたセレネは、ツナの友好関係やファミリー候補の人達の資料を見せてもらっていた。さすが次期ボンゴレに選ばれるだけあって、様々な素質を持った人達が揃っていた、のだが…
「そこの君、何してるの?」
ふいに背後から呼び止められ振り向くと、どこかで見たことがある人物
しかし特定まではできなかった。
「巡回中です。警備員なので」
というか何してるんだ、とはセレネが聞きたかった。
何度も言うが今は授業中。生徒は各教室で勉強にはげむ時間なのだ。
「警備員? そんなの許可した覚えないけど」
「許可はちゃんと校長先生に頂いています。君は早く教室に戻ってください」
そう言うと男の肩に羽織っている黒い学ランがふわりと揺れた。その光景が、セレネの記憶にひっかかる。
そうだ、この人は…
「校長なんて知らないよ。僕の許可なく校内に入ったんだから…」
ツナのファミリー候補の"雲雀恭弥"だ…
「不法侵入として咬み殺す」
雲雀は腕に金属製のトンファーらしき物を構え、間合いをつめてくる。さすがに攻撃してきたのはセレネも予想外で、咄嗟に跳躍してそれをかわした。
「お待ち下さい。雲雀恭弥さんですよね?」
「…だったら何?」
避けたことで苛つかせてしまったのか、その言葉には確かに怒気が含まれていた。
「ボンゴレファミリーからツナさんの護衛を任されています。セレネという者です」
「ふぅん…だから?」
まだ、不機嫌なオーラは全身に漂っている。
「リボーンさんからお話を伺っています。ツナさんのファミリー候補だと…」
「君、赤ん坊の知り合い?」
リボーン
この名に、彼はピクリと反応を示した。
「はい」
「へぇ…なら君も強いんだ?」
不機嫌オーラが、一瞬にして殺気に変わる。それにセレネは職業柄か本能か、手に己の武器を反射的に握ってしまった。
一触即発の緊張感が辺りにあふれる。
キーンコーン・・・
微妙な空気が漂う廊下に、学校独特のチャイム音が鳴り響いた。
静かだった廊下に、ざわざわと生徒達の声がもれ出てくる。
「…今日のところはこれで我慢してあげる。群れは嫌いだからね」
「え?」
そう言うと雲雀はセレネの反対、元来た方向へ踵をかえした。
「赤ん坊の知り合いなら、警備員も許可してあげるよ」
足を一度止めて、頭だけでこちらへ振り返り雲雀は言う。
「そのかわり、今度僕と勝負してね」
その一言だけ残して彼、雲雀は去っていった。
***
気まぐれは扱いにくくて困る
20071122
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