それでも、大切な人だから
「セレネちゃ〜ん!」
オレの姉、セレネは頑固だ。
「・・・なんですか」
「今日が何の日か知らない訳ねえよな〜?」
「・・・知りません」
あんな事を言っていても、セレネの携帯のカレンダー機能には今日という日に星マークが付いていたり
「またまた〜意地っ張りっつーのも可愛いが、たまには素直になったほうがいいぜ?」
「皆目見当がつきません」
「仕方ねぇなぁ〜。誕生日だよ、誕生日! オレの誕生日!!」
「そうですか」
昨日までセレネにしては珍しく、ある店の前で数時間悩んでいたり
「で? プレゼントは?」
「先刻ビアンキが楽しそうにキッチンにいましたが」
「げ、それってポイズンクッキングじゃねえか!・・・じゃなくって!! セレネからのプレゼントは?」
「用意している筈ないでしょう」
その店でしっかり買い物をしていることを、オレは知ってる。
「バレバレの嘘はつくもんじゃないぜ? なんだかんだ言いながら毎年くれたじゃねぇか」
「・・・あれはたまたまその時に貰った物です偶然です」
「はいはい、そういう事にしといてやんよ。だからその胸ポケットにある包みを早く出しな?」
「っ・・・!」
そう、何時間も悩んでやっと選んだあの・・・
「・・・でしょう」
「ん?」
「シャマルに誕生日に物を贈りたいと言う人なんていくらでもいるでしょう。その人達の所へ行ってくれば良いんです。なぜ自分の所へ来るんですか?!」
「そんなの、セレネからのプレゼントが欲しいからに決まってんだろ?」
「その年でよくそんな台詞を言えますね?! 付き合いきれません!」
バシッ
「いてっ?!」
部屋を出て行く寸前にセレネがシャマルに投げ付けたのは、薄緑の紙でラッピングされた小さな包み
「ったく、毎年苦労するぜ・・・なぁアルト?」
「あ、バレとった?」
「当たりめぇだ。セレネはパニクってて気付いてなかったみてぇだがな」
「やろな。ほい、今年の」
「サンキュ〜・・・ってまた煙草一箱かよ」
「貰う方が文句ゆうな。あいにくオレはセレネみたいに心こもってないから」
「はは! そうだな〜・・・」
***
「お!セレネはジッポだ。ほんとにお前ら二人でセットだな」
20080209(+3)
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