[携帯モード] [URL送信]
Studioso勉強熱心な、願望の

「ツナさんのこと頼みます、アルト」

「…あぁ、うん」


オレやハヤト、みんなが十代目の部屋に勉強会という名目で集まった頃、セレネは出掛ける準備をしていた。
ビアンキ姉さんと買い物に行くらしい。


「行ってらっしゃい。楽しんできなね」

「…はい、行ってきます」


そう笑ったセレネは、いつもとすこし違うように感じた。



―――・・・・

「十代目、さっきなんでセレネはあんな呼び方したん?」

「へ?」

「そういえばそうなー。最初は"様"とかつけて呼んでたのに」


そう、セレネは自分よりはるかに劣る者でも、決して礼儀は失わない。そのことはいつも一緒にいたオレが一番よく理解してる。


「そ、それはなんていうか…」


ましてや相手は、かのボンゴレ十代目だ。
たったひとつの可能性を除いて…


「命令、したん…?」



命令
それは絶対に逆らってはいけないモノ。主君のソレは必ず実行しなければならない。
そして、オレやセレネが一番"嫌うモノ"


「そんな! 命令なんてしてないよ! 俺はただお願いしただけで…」


…お願い?


「そ、そんだけ…?」

「そうだぞ、もっと仲良くなりたいって言ってな」

「なっ! リボーン!! そこまでは言ってないだろう?!」



お願い
それは命令とは違い、絶対的なものはなく、あまりに拘束力が弱い。それだけで、セレネが折れた…?
ああ見えてセレネは随分な頑固者だ。そんなものでセレネが納得するはずがない。


「えと、それがどうかしたの?」


しかし、よく考えればお願いなどされたのは初めてかもしれない。

オレ達は謂わば兵士だ。
たった一人仕える"王"のために命を賭して闘う。悪く言えば捨て駒

しかもマフィア界でオレ達は、あまり良い立場ではない。
命令や、よくて任務はあっても、お願いなんて…


「ハハ…」


可笑しくて嘲笑えてきた。


「ん? どうしたんだ?」


しかも、部下までとんだお人好しやし…


「頭でもイカれたか?」


でも、セレネの考えが少しだけわかった気がする。


「うっさい、ハヤト」


こんな奴らだからこそ…


「アルト?」


オレたちが守る価値がある。



「ナンでもないです十代目。どうぞ勉強進めてくだサイ」


(本当は乗り気じゃなかったけど、これからは本気で守ろうと思った)









***
誰も勉強していないという罠

20071213


あきゅろす。
無料HPエムペ!