Studioso勉強熱心な、願望の
「ツナさんのこと頼みます、アルト」
「…あぁ、うん」
オレやハヤト、みんなが十代目の部屋に勉強会という名目で集まった頃、セレネは出掛ける準備をしていた。
ビアンキ姉さんと買い物に行くらしい。
「行ってらっしゃい。楽しんできなね」
「…はい、行ってきます」
そう笑ったセレネは、いつもとすこし違うように感じた。
―――・・・・
「十代目、さっきなんでセレネはあんな呼び方したん?」
「へ?」
「そういえばそうなー。最初は"様"とかつけて呼んでたのに」
そう、セレネは自分よりはるかに劣る者でも、決して礼儀は失わない。そのことはいつも一緒にいたオレが一番よく理解してる。
「そ、それはなんていうか…」
ましてや相手は、かのボンゴレ十代目だ。
たったひとつの可能性を除いて…
「命令、したん…?」
命令
それは絶対に逆らってはいけないモノ。主君のソレは必ず実行しなければならない。
そして、オレやセレネが一番"嫌うモノ"
「そんな! 命令なんてしてないよ! 俺はただお願いしただけで…」
…お願い?
「そ、そんだけ…?」
「そうだぞ、もっと仲良くなりたいって言ってな」
「なっ! リボーン!! そこまでは言ってないだろう?!」
お願い
それは命令とは違い、絶対的なものはなく、あまりに拘束力が弱い。それだけで、セレネが折れた…?
ああ見えてセレネは随分な頑固者だ。そんなものでセレネが納得するはずがない。
「えと、それがどうかしたの?」
しかし、よく考えればお願いなどされたのは初めてかもしれない。
オレ達は謂わば兵士だ。
たった一人仕える"王"のために命を賭して闘う。悪く言えば捨て駒
しかもマフィア界でオレ達は、あまり良い立場ではない。
命令や、よくて任務はあっても、お願いなんて…
「ハハ…」
可笑しくて嘲笑えてきた。
「ん? どうしたんだ?」
しかも、部下までとんだお人好しやし…
「頭でもイカれたか?」
でも、セレネの考えが少しだけわかった気がする。
「うっさい、ハヤト」
こんな奴らだからこそ…
「アルト?」
オレたちが守る価値がある。
「ナンでもないです十代目。どうぞ勉強進めてくだサイ」
(本当は乗り気じゃなかったけど、これからは本気で守ろうと思った)
***
誰も勉強していないという罠
20071213
無料HPエムペ!