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奇跡のみが今の彼女を救える


もしもの話。


平凡な両親から、骸が生まれて

同じように平凡な両親から、奏が生まれて

平凡な家庭で育ち

平凡な出会いをしていたら


私たちは、何か変わっっていただろうか…




「何がおかしいんですか? 奏」

そんな想像は、知らぬうちに奏に笑いを呼んでいたらしい。
自分は、自分の想像に笑っていたのか。そのことを骸から気づかされた奏はまた、ふふふ、と小さく笑った。

「奏?」

その笑いに骸は気分を悪くしたのか、眉尻を高く持ち上げた。
その様子に、奏はあわてて否定をしめした。


「いえ、違うんです。ちょっと、おかしな想像をしてしまって」


自分でも、あまりにバカらしい想像だったと思う。


もし最初から違っていたら、なんて…


「ほう、どんな想像ですか?」


「私たちが、私たちとして生まれていなかったら…です」


奏の言葉に、骸は一瞬ぽかんとして、それからすぐにクフフ、と奏と同じように笑った。

「それはまた、おもしろい想像ですね」

傑作だ、と骸は腹をかかえて笑う。

「私も、そう思います」

奏も、骸につられてまた笑い出した。



もしも、骸が平凡な家庭に生まれていたら、

世界大戦など、望まなかった。


奏が、平凡な家庭に生まれていたら、

このように骸と笑い合うことはなかった。


そう、もし二人が出会わなければ…

なにも、始まることはなかっただろう。



けれどそれは結局、二人にとっては今と何も変わらなかった。


(もし違う出会い方をしていても、私がこの人を幸せにできるはずなんて、ないのだから)

(もしも生まれが違っていても、僕が彼女を幸せにできる保障なんて、どこにもないんだ)






もしもの話。

私たちが平凡に生まれ、平凡に育ち、そして平凡に幸せになれたなら…



そんな奇跡が起きたらいいのに








20110803
((まあ、そんなことありえないけど))



あきゅろす。
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