残酷で
「かはっ」
それは頻繁にというほどではなかったが、時々起きた。
「っぐ」
時間は早朝だったり、夜中の眠っている時だったりと、規則性はない。
「っは」
何がきっかけかは、不明。
彼の中では何かあるのだろうが、常に側にいたはずの彼女らでさえ、皆目見当はつかなかった。
「む、くろ」
奏の息は絶えだえだった。何も見えていないような、限りなく無表情な骸の腕が奏の細い首を締めつけている。
強く
強く
強く
そこに骸の手を止めようとする手はない。奏自身の手は、本能に抗うように自らの服の胸元を必死に握り締めているからだ。
みしり、と首の骨が悲鳴を上げた。
そこでやっと骸は飽きたように手を離し、支えをなくして崩れ落ちる奏を見下ろした。
同時に奏の体は生命活動のために全力で荒く呼吸を繰り返す。
「っはぁ、はぁ…」
沈黙を続けていた部屋に奏の荒々しい息づかいだけが反響する。それがひどく耳障りで、骸は無理やり口を塞いだ。
深く
深く
深く
奏は意識が朦朧としているのか、抵抗の気配はない。そこで骸はさらに奏を痛めつける。
「消えてしまえばいい」
「いい加減、疲れるんです」
「迷惑なんですよ」
「おまえ達ほど、重い枷はない」
「死んでしまえばいい」
蔑みながら、奏を見下ろす。
すると、今度は奏の力ない腕が骸の首元に回された…
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