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 気が付くと肩に力が入っていた。
 ハッと我に返りミハシは時計を確認する。キタムラとオオサキが中に入ってからまだ十五分程しか経っていなかった。
「いつまでもここに居る必要はない、か」
 懐から煙草を取り出し火をつけ、ゆっくりと立ち上がる。車中で待機する事に決めると、辺りを用心深く伺い駐車場に進んだ。

 開演から時間が経ち人の動きが少なくなる駐車場。他組織の人間を見つけるには絶好の機会だ。ミハシは目を凝らして様子を確認しようとした。
 その時。
 コンコンッと軽やかな音が聞こえた。車の窓を何者かに叩かれたのだ。
 目を凝らすとすぐ傍に人影が立っている。ミハシが座席の脇に置いていた銃に手を伸ばすのとほぼ同時に、その人影は少し屈み込んで窓の外から車内を覗き込んだ。
「あっ」
 くすんだオレンジ色に近い明るめの髪、その下から覗く大きな目、血色の悪い青白い肌。
 見覚えのあるその顔に戸惑い、「どうも」と挨拶した。相手は、四大組織の一つ、Zのウエダだった。
 キタムラ組には何かと良くしてくれる彼に、銃を向ける必要はない。
 ミハシは窓を開けるとその名を呼ぼうとした。しかしウエダは自分の唇に人差し指を当ててそれを制止する。ミハシが首を傾げるのを見、ウエダは車の座席を指し、すぐにその手を自分の耳に当てた。
「へ? なんすか」
「聴かれてるぜ」
ミハシの耳元に口を近付け小声で囁く。
 ウエダは車の助手席に乗り込んでくると、座席の下から小さな機械を取り出した。
 盗聴器だった。

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あきゅろす。
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