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novel:その他
演じる(新人×売れっ子、ゲイAV男優)★


俺はゲイ作品専門のAV男優だ。
自分で言うのも何だがかなり人気がある、この業界じゃ売り上げは歴代トップなんだとか。

「あっ、あ、ああ、それだめぇ!」

「気持ちぃ、気持ぃよぉ…もっとしてぇ!」

「おちんちんも触って、ねぇ、ぐちゅぐちゅしてぇ!」

「中に、俺の中にいっぱいせぇえき注いでぇ!」

「いっちゃう、いっちゃう…!あっああっ、あっ!あぁんっ!!」

「あぁっ、凄いよぉ…いっぱい、いっぱい出たぁ…」

不良っぽい外見に似合わぬ童顔が受けるらしく、その幼さを感じる顔で喘ぎまくって、卑猥な言葉をばんばんいうのがたまらないんだ、とマネージャーがよく言う。

…全部演技だ、ビジネスだ。

ケツに男のチンポつっこまれてがんがん突かれたって気持ちいいと思わない。
だが、自分の持って生まれた外見がこれだけ金になるんだ、真面目に働くよりよっぽど効率がいい。
女じゃないから別に減るもんないし、周りにどう言われようが兎に角金になるんだからいいんだ。





「…またあいつかよ」

「アンケートでもぶっちぎりで人気なんだって!な、頼むよショウ、この仕事は断れないんだって!な、な、な!?」

「俺、前回の共演で二度と嫌だって言いましたよね?」

「うんうん、言った、言ってた!でもねショウ」

「嫌です」

「そう言わず!ほら、今回はこれだけ出演料でるから…」

「…」

「ね、どう?」

「…倍ですか」

「そう、前回の倍だ!どうだ、やってくれないか?」

「…」

「…」

「…3倍」

「え?」

「3倍なら一度考えます」

「解った交渉してくるぞ!3倍なら受けるんだな!?」

「いや、受けるんじゃなくて、一度考えますって…あ、ちょっとマネ…」

しっかりしてるんだが、たまに真っ赤になって暴走する俺のマネージャー。
言葉もちゃんと聴かずに、もう一度言いかけてる俺を部屋に残して凄い勢いで出て行った。
3倍なんて出演料絶対に無理な話だろう、いくら俺が売れっ子だからって相場無視もいい金額だ。
元々1作品でかなりの金なんだ俺は、社長がそこまで出すとは思えない…だから、これで断れる。

「…俺は、あいつが嫌いだ」





マネージャーの強引な押しに、あれよあれよと撮影当日になった。
期限の悪さ満載の俺に、マネージャーは何度も3倍の出演料の契約書をちらちら見せてきた、くそっ、その金額見たら目がくらむ。
今回はプライベート感を出す為にマンションの一部屋を丸ごと用意したそうで、隠しカメラが設置されていてスタッフも誰もいないらしい。
あいつ相手なら、俺にとっては他の人間がいないほうが好都合だ。
先にその部屋に通された俺は、一人でリビングのソファに座って水を飲んでいた、待っていればくるらしい。
玄関のドアが開く音がした、肩がびくついてしまったが、きっともうカメラは回ってるんだろう、演技しないと。

演技、しないと。

「やぁショウ、待たせたな」

「別に、あんたなんて待ってないし」

「そうかそうか、そういう設定でくるか。…俺はずっと君に逢いたかったぜ」

「誰にでも言うんでしょ?それ…なぁ、コウイチさん?」

一度きりの共演で、二度と会いたくはないと思ってたこの男、同じくゲイAV男優だ。
コウイチと名のつくその男は3ヶ月前にこの世界でデビューしたんだが、綺麗に整った顔とその低い声で、あれよあれよと売れっ子になった。

…俺は、こいつが嫌いだ。





「はぁっ、はぁ、も、やめて、そればっかりやめて…!」

「乳首好きなんだろ?真っ赤になって突っ立てて喜んでんじゃねぇか」

「ちが、ちがっ…!」

「違わねぇ、だろ?ほらよ」

「あぁっ、や!やだ急に入れないで!!」

「乳首ばっかり嫌だって言ったの、お前だろ?」

「だからってこんな、あ、あ、いきなり、はげしっ…!!」

「好きなくせに」

「あんっ、あ、あ、ああ、あ!あ、ん、やぁ出る出る出ちゃ」

「だーめ」

「やだ、握らないでぇっ…!こんなの、や、あ、あ、あ!」

「あーあ、顔もここもぐっちゃぐちゃだな」

「あっあっ、あ、や、そんな、あん、あ、あ!」

演技、しなきゃ。

演技。

コウイチが腰を止め、顔が覆いかぶさってきたかと思うと、俺にしか聞こえないような小さな小さな声で話始めた。
そう、あの低くて無駄にいい声で。

「…お前ってさ、あれ全部演技だろ」

「…え、演じて何が、悪ぃ…」

「悪くはねぇよ、それが俺達のオシゴトだもんな」

「…さっさと、すませろ、よっ…!」

「…」

「…」

「…そんなお前がさ、俺だけには本気で感じてるって…たまんねぇな」

「!」

変な効果音が出たんじゃないかって位の勢いで、一気に顔に血が集まるのが解った。
バレてる、バレてる、バレて、た。
今度はカメラをちゃんと意識した声で、コウイチは続けた。

「こーんな淫乱で可愛い子、たっぷりおしおきしてやらなきゃなぁ」

「あ、あ、あんっ!うあ、あ、だめ、も、だめぇ、手取ってぇぇぇ!」

がんがん突いてくるくせに、俺自身を握る手は一向に離す気配がない。
だめだ、だめだ、こいつの気持ちぃぃ、こいつにだけ演技ができない、頭が動かなくなる。
気持ちいい、気持ちいい、お尻の穴をぐちゅぐちゅぱんぱん突かれて、気もち、いい…!

「お前が俺に本気で落ちるまで、やめねぇよ」

「あ、あっ、だ、誰がお前に…あ、あ!ああああああ出したい、いっちゃ、いっちゃうぅん!!おちんちんで突かれていちゃ、う…!!」

「お前、本当いいな…。な、今度は俺と本当の二人きりでやろうぜ」

「ことわ、るっ!」

「何でだよ?俺お前の事好きだぜ?」

「…俺は、あんたが、嫌いだ…!」

「上等だ」

俺は、こいつが、嫌いだ。


(201904)



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