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novel:日常
俺様が風紀委員長、須藤


チャイムがHRの終わりを告げる。担任が教室を出て行くと同時に、生徒達が席を立ち始める。
今日は全委員会の会議後に生徒会の定例会議が開かれる。内村は鞄に何度も確認した書類を詰め込むと、席をたった。

「今日定例会議だってな」

「おう」

「頑張ってるよな内村、俺の心配をよそに生徒会性活を楽しんでいるようで何よりだ」

「お前最初以降まったく俺の事心配してないだろ、佐々木!?あと変な漢字使うな!」

「心外だな、俺はいおつでもお前のケツを気遣っているよ」

「ケツ言うな!あと俺はノーマルだ!女の子が好きだーー!!」

大声でそう言うと、内村は後ろのドアから凄い勢いで出て行った。ケラケラ笑う佐々木をよそに、クラスメイト達はいつもの事だと慣れた様子でスルーしていた。




「いくら校風が自由だからといってだな、四谷の制服のだらしなさは見過ごせない」

「でもそれが彼の個性だから」

「お前は昔から優し過ぎる!そのせいで俺様はだな…いや、うん。とにかく、あれでは風紀委員に威厳がないと思われてしまう」

「うん」

「今日という今日こそは、あの関西野郎の金髪をどうにかしてやる…!」

「うん」

やたらデカイ態度で話す男の隣に並んで、穏やかな笑みを浮かべた市橋会長が歩いている。
委員会を終えた彼らは今生徒会室に向かっていた。



市橋がやたらと立派な造りの生徒会室の扉をあけた。

「ただいま」

「やめて下さいってば副会長ー!!」

「嫌がりながらも頬を染めている、可愛いな内村…!」

「んぁっ!!」

「乳首だけでもいけるように、もっと淫乱になればええのに〜」

「やだ、やだ四谷、ぐりぐりしないで…!」

「…僕達に気付いてないのかな?いや、気付いてるよね」

にこにこした目のままでそう言うと、市橋は生徒会室に入った。普通に入った。
ソファの上で坂本と四谷にもみくちゃに押し倒されている内村は、シャツの上から胸をぐりぐりされている。主に乳首のあたりを。
部屋の中の騒がしさに、市橋と一緒に来た男は首を伸ばすように生徒会室へと入った。彼は目を見開いた。

「……お、おおおおお前ら何やってるんだっーーーー!?!?」

「何ってナニやで、会長が帰ってきたから3人で……あれ?須藤先輩??」

「おお須藤、市橋。委員会終わったのか」

「え?うわっ!あ、あの…!!」

「お前ら何でそんなに平然としてるんだ、平然とっ!!」

須藤と呼ばれたその男は、慌てて生徒会室に入ると内村の上に乗っかっていた坂本と四谷を引き剥がした。
耳まで真っ赤にしている内村の肩を引き起こし、大丈夫かと声をかけた。

「あ、あの、すいません、大丈夫です…」

「こいつらは変態だから、新しく入った会計が気にかかっていたが…!やっぱりこうなったのかっ!」

「心配ないよ須藤、僕達も彼も互いに好き合ってるから」

「真顔で好きとか言うな!おお男同士でこんなことを…!」

「好きになった相手が同性だっただけだ。俺達の愛には何もおかしい事はないぞ」

「あぁもう…!先代の会長も同じようなこと言ってたな!変態生徒会め!」

頭を抱えてぎゃーぎゃー言う男に、内村がおずおずと声をかけた。

「あの…風紀委員長の須藤先輩、ですよね?は、初めまして、生徒会会計の2年の内村新です」

「あ、あぁ知っている、市橋からよく聞いている。ノロケとかノロケとかノロケとかな…俺は風紀委員長を務めている、3年の須藤尚人だ」

「何だかんだで二人が直接会うのは初めてだね」

「宜しくお願いします」

「俺は風紀委員長を務めている須藤だ。覚えておけ、内村」

「で、須藤先輩何か用事ですか?」

「…そうだ!おい四谷、その金色の髪直してこいと言ってるだろう!今日という今日は俺様風紀委員長のメンツにかけて…あとシャツ入れろ!」

「えーでもうちの校則結構自由やないッスか、あとこれ地毛ですから」

「そんな髪色の日本人がいるわけないだろう!あぁ、俺様が生徒会長になっていたら、もっとこう、規律ある校則にだな…」

ぶつぶつ言っている須藤を尻目に、四谷は面白がっているかのようにみえる。
もともと四谷は人懐っこい性格だけれど、先輩に対する態度もとても大雑把だ。内村は何かものすごく心配になった。

「おい、四谷…お前いくらなんでも先輩に対してそれは…」

「え?あぁ、須藤先輩は市橋先輩と幼馴染で仲ええんや。生徒会にもしょっちゅう顔出してるから、もう生徒会の一員みたいなもんやで。俺様な態度があるけど、基本ええ人やから。」

「…そういうもんなのか?」

3年生3人が話している横で、2年の二人はひそひそ会話していた。3人は3人で何か盛り上がっているようだ。

「須藤は生徒会長の座を狙っていたからな、生徒会の仕事がしたくてしょうがないんだろう」

「でも実際本当によくしてくれるからね。風紀委員の仕事もありながら、感謝してるよ須藤」

「…ふん、市橋に礼を言われる筋合いはないな!それに、風紀委員の仕事とてやりがいがある」

市橋にお礼を言われて照れているのか、目線を逸らすとぶっきらぼうに呟いた。上から目線な物言いがあってすこし怖く感じたが、四谷の言うとおりいい人なんだと内村は思った。

「うっちー、須藤先輩見て何笑ってるん…?まさか!まさか!!」

「内村!須藤に惚れたのか!?」

「ほほほ惚れてませんよ!何でそんな発想になるんですか副会長!!」

「そうだ俺様は男に興味はない!」

生徒会室にぎゃあぎゃあと騒がしい声が響く。風紀委員長の須藤を加え、更に賑やかな日々になりそうだ。
市橋は相変わらずにこにこしていた。

「…でもさ須藤。生徒会長になりたかったって事は、やっぱりそっちの…」

「だまれ市橋!!」

...end 



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