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novel:日常
満員電車に奴がいた@(坂×内)




内村君はいつもバス通学です。だけど、その日に限って彼は電車に乗っていました。




(うーっくそっ…!エンジントラブルでバス動かないとか何なんだ!)

時間になってもバスが来ないと思っていたら、バス会社の社員が走ってきた。エンジントラブルによりバスが動かなく、代走車が来るにはは20分程かかるという。ギャーギャー言う他の客を尻目に、駅まで回って電車に乗るのが一番いいと内村は判断した。

と、駅にいったものの、普段は使わない時間帯の電車は朝の通勤通学ラッシュで酷く込んでいた。
慣れていないながら無理やり人ごみに混ざってみたものの、本当にドアぎりぎりで乗った。ドアに押し付けれるようにして、内村は何とか人の圧力に耐えていた。

(あーもうどっちにしろ遅刻決定だよなこれ、家に戻って自転車とってきた方が良かったか…!)

「今日数学あたるっけ?」

「はい、あのバスがエンジントラブルで今電車に…はい、30分ほどで…」

「いたっ」

「だから、俺あの時言ってやったんだって〜…」

「うっそ信じらんなーい」

人の会話がいきかう。内村と同じようにバスのエンジントラブルでこの電車に乗ったサラリーマンが電話をしていた。
カーブの度に後ろの人が圧力をかけてくる。毎朝こんな状態を絶えているなんて、内村は世の中の電車通勤・通学の人をちょっと尊敬した。
人との距離が本当に近くて、隙間なんてものは無い位だ。目の前がドアの自分の位置はまだマシなのかもしれない。
本当に狭い。きつい。

後ろの人の手がずっと内村のお尻にあたっている。

(………?俺の後ろの人、男のケツなんかにあたってんのに手をどけないのか…?)

お尻にあたっているその手の動きがおかしいと内村が感じたのは、もう少したってからだった。
明らかにおかしい、これは”手があたっている”んではなくて”尻を撫でられている”が正しい。
右のふくらみをやわやわと撫でていたかと思うと、その手が遠慮なく前にきた。

(ちょ、ちょ、え!?何何何で俺痴漢にあってんの!?いやてゆうか俺男だけど!?気づけよ!!)

股間の前に来たその手は、ズボンの上から内村のソレを手のひら一杯でぐっとつつんだ。とんでもない展開に驚いて声が出そうになるが、こんなところを隣の人に見られたくはない。ましてやさらにその隣の可愛い女子高生になんて見られたくない。
抵抗しようと身をひねってみるが、隙間すらない満員電車の中ではまったく動けなかった。
内村があれこれ考えているうちに、その手は内村自身をもみはじめる。親指で竿をなでられ、残る4本の指で下から玉を持ち上げるようにもまれる。ぐいぐい、ぐいぐい。
これだけのことなのに、内村は腰に力が入らなくなってきた。自分の手でその手を止めたいが、あいにく胸の前で両手をドアについた状態のままで腕が下げられない。
痴漢の揉む手は止まらない。
肩から力が抜けたのが解ったのか、手の主は内村のズボンのファスナーに指をかけた。あっ、と思うまもなくそこから手が進入してくる。目の前がドアじゃなかったら誰かに見られていただろう。
流石に行き過ぎた行為に汗が出てくる。ドアに両手をつけてふんばった状態で、何とか頭だけでも後ろに向けた。自分自身のすぐ背後にいるであろう、男のナニを触ってくる変態を何とかして止めようと思った。

思いもよらない顔が、見えた。



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