short
HUNK
いまから五年前、あの忌々しい戦争真っ只中の時だ。
ハルモニア14歳、ベルニカ23歳(ハンク)。
当時からドラクーン家に仕え、素晴らしい執事として働いていたベルニカ・ハンコック
明らかにカストレ人ではない彼を突然ハルモニアはつれてきた。
両親は悩んだうえ、ドラクーン家の執事としてつかうことにする。

突如として始まった戦争。
何が原因かもわからない。唯一わかるのは相手がバレンチアだということ。

たくさんいたドラクーン家の執事たちもすごい勢いで全身に銃弾を浴びていく。
そして当主である父と母まで殺されてしまった。
「お嬢様ここはダメです逃げましょう。」
ベルニカの提案にハルモニアは小さく頷く。

「お嬢様は私がお守りします。
絶対に血など浴びさせません。
あとお嬢様。
こちらに隠れていてください。」
ベルニカはそう微笑むと、敵の落としていったサブマシンガンを拾い上げハルモニアを小さな小屋に突き放した。
「ベル!」
「大丈夫。私はバレンチア人ですから。」
戦闘能力のずば抜けたバレンチア人だということをつげベルニカは微笑むと、小屋の戸を締め、鍵穴にバンッと銃弾を放った。

ーーーーー

小屋の外に響くマシンガンの音が聞こえなくなったと思い、戸の近くに寄るが、扉はびくともしない。
ハルモニアは自身の能力で扉の時を進めた。
彼女の能力は時の力。しかし、過去に遡らせるのは不可能。

扉はもともと壊される予定であり、未来へ時間を進ませるとあっけなく扉は壊れた。

そして目の前にはベルニカが座っていた。
「ベル!」
ハルモニアが心配して駆け寄ると、
ベルニカはすぐに立ち上がって、
「申し訳ございません。
こんなに恥ずかしい姿を……」
と小さく微笑んだ。
体は血まみれで、どう見ても腹に穴が開いている。

「ベル……それ……」
「お嬢様……大丈夫ですよ。……」
ベルニカは腹を押さえながらにっこり笑うが、
ドサッ
そのまま倒れてしまった。

ハルモニアにできることは時を操作すること。ハルモニアはベルニカ自身の時間を戻すことを決意する。
このまま放っておいてもいずれ死んでしまうのだ。できることだけでも。

ハルモニアは時の力を使った。
その瞬間、足に激痛がはしり、目の前のベルニカが光った。


「お嬢様……」
ベルニカはゆっくり目を開け、そしてハルモニアに目をやる。
ハルモニアの以前美しかった足には黒いアザがありそして、自分の体には傷ひとつない。
「お嬢様……まさか……」
自分達の身に何が起こったのかベルニカは悟った。

自分が守るといっておいて、お嬢様に守られてしまった。
自分の不甲斐なさをなげいたベルニカは
「今度はお嬢様を救いたい。」
と、入れば何でも願いを叶えてくれるという騎士団の門を叩いたのであった。

お嬢様の魔法は強すぎました。
私の時間は戦争の直前に戻ってそのまま止まってしまっているのです。今度こそは彼女を幸せにしたい。
……今の俺は彼女を救える。

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