牢屋をぬけて
薄暗い廊下を全員の足音だけが響いている。

「いまから王子どこにいくの?」
キセキが前方をランスに小さな声で話しかけた。
「まずは……みんなの部屋をだな……
ごめんだけど、男性諸君の半分はキセキと相部屋でいいかな?」
「……」
誰も返事をしない。
「ダメかな?」
ランスが優しい笑みで後ろを振り返ると、全員が嫌そうな顔をしている。
「なんでお前らが嫌そうなんだよ!」
キセキは大声を上げた。

「だって……
汚そう……」
ランナが独り言を呟くようにいい放つ。
「いやいや、俺部屋に戻るの何日ぶりだと思ってんだよ……」
キセキはフーッと呆れたようにいうと
「あー。じゃあいいかな?
きれいなんでしょ?」
とランナは無邪気に微笑んだ。

話し合いの結果、キセキの部屋に泊まるのはヒロとランナとなった。
アシェルとヴァンクールが同じ部屋なのは当然、エヴァが目覚めるのを防ぐためだ。

さっきまでの薄暗い廊下とは違い、やはり階段をおりるとすぐに華やかな廊下に変わった。
さっきの牢屋ばかりの階はロの字の地形で吹き抜けてあったらしく、この階は真ん中に大きな庭園がある。

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あきゅろす。
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