提案
たのしい?食事会が始まったのだが、隣のヴァンクールは全くリラックスしていなかった。
アシェルが仲間の様子をぐるりと見回すと、サギリとヒロはリラックスしているようだが、ランナは少し警戒しながら目の前のスープをすくっていた。

「アシェル。ほんとに私たちは大丈夫よ。リラックスして。」
アシェルのちょうど前に座っているカレンが困ったように微笑む。
アシェルは苦笑いして、まだ手を膝においたままのヴァンクールの頭に手をおいた。
一瞬、ヴァンクールの肩が揺れる。

「ヴァンクール。」
本人にしか聞こえない、吐息のような声でヴァンクールに話しかける。
「わかってる。大丈夫だ。」
ヴァンクールは目の前のパンをひとくちちぎって食べた。

「少し提案なんだが。」
ランスがにっこり微笑みながらスプーンをおく。
その瞬間、一部の騎士は食器やパンを置いたが、一部は顔を向けるだけである。

「せっかく人数も増えたんだし、いつものトレーニングに君たちも参加したらどうかな?」
君たちとは、アシェルたちのことらしい。

「いいよ。」
胡散臭い笑顔で笑ったのはエージェント。
それと同時に数人がうなずいた。
「君たちはどう?」
真っ先にヒロがアシェルを見て、ランナがヴァンクールを見た。

「……ああ。でもなるべくアシェルと近くでやらせてくれないか?」
ヴァンクールがさっきよりは緊張がほぐれた様子で話す。

「それは……その方がいいね。」
ランスがにっこり微笑んで腕を組んだ。
……エヴァのことだ。
「ありがとう。」

「俺は剣の練習ヒロとやるよ。」
ランスはヒロとアイコンタクトをとって笑った。
「他の人は好きな騎士を選んでほしい。
……好きな騎士っておかしいね……。」
ふふっと笑いながらランスが周りを見回した。


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