ある廃村で
アシェルとヴァンクールは縁側に座って、ぼーっとしていた。
しかしその時にここからでも見えるくらいに西の森が目映く光ったのだ。
「なんだ…?」
アシェルが目を丸くして光の方向を見る。
ヴァンクールは嫌な予感がしていた。
その時、
「おい!2人とも!戻るぞ。」
時雨が玄関で叫んでいるのが聞こえたので、急いで家を出る支度をした。
ヴァンクールは地面に落ちていた写真をちゃんと元の位置に戻してから、
余り躊躇うことなく、
足早に家をでた。
家の前では時雨が待っていた。椎葉は先に帰ったらしい
「何かあったのか?」
ヴァンクールは時雨を見つめて問いかける。
時雨は首をかしげた。
「しかしあの光は…きっと。」
「ああ。心刀の光だ。心刀の所有は禁じられているはず。」
アシェルは目を伏せてまた西の森を見た。
「またあいつらか…」
廃村の旧バレンチアを歩きながらヴァンクールが左手の親指を咬んで嫌そうに呟く。
ー
そのまま反対の手を空に向けたと思うと
パァンッ!
空に向かって銃弾を撃ち込んだ。
「!」
「うぁ!危ねえ!」
と空から小さな叫び声が聞こえたと思うと、
3人の目の前に何かが刺さった。
ー槍と一人の青年だった。
「オリバー。何のようだ。」
ヴァンクールが不機嫌なことからして、騎士の一人なのだろう。
すると少しパーマのきいた髪の青年は槍を引き抜いて。
「いや、お前さんを倒しに来た。」
ビュッと槍をヴァンクールに向けた。
「それはさせない。」
返事をしたのは時雨。
腰にさした長めの刀を抜いた。
「それはさせない。」
聞いたことのある声。
「エージェント!また来たのか?」
ヴァンクールは小馬鹿にしたように笑った。
エージェントは木の上で座りながら足をぶらぶらさせて時雨を見下ろしていた。
「なら、アシェルは私が…」
また住宅の影から、新しい女性の声。
誰だ!?と尋ねる前にアシェルには声の主が解ってしまっていた。
青い長い髪を翻し、
美しい彫刻の剣を握った、鎧剣士。
「カレン?どうして…」
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