襲撃

「ねえ、オリバー。」

ナトリは隣で座っている青年の顔を艶かしい表情で見つめる。

オリバーと呼ばれた青年は少し呆れたように
「ナトリ姐さんのは天性のものだよな。」
と苦笑いした。

ナトリはフフッと笑うと
「今は相手2人やからいいけど、確か5人おるんやろ?」


オリバーは急に立ち上がった。

「大丈夫、大丈夫!
ヴァンクールは俺がなんとかするし、フレイルはあのこにまかせる。あの子供はは椿さんが、」

するとナトリは目を丸くした。
「あたしは一人!?
しかも、椿さんって騎士じゃないでしょ。」


「エージェントが一番暇だろ。あいつ呼びなよ。」


オリバーは窓に足をかけると、そのまま落ちてしまった。


「もぅ!手伝うゆうたのに。」
ナトリは頬を膨らました。

「オリバーは少し無責任だよねー。」


ナトリはその声の方をバッと振り向くと、
「呼んだでしょ。」
とエージェントが手をふった。

「もぅ!驚かさんといて。」
とまたナトリは頬を膨らませた。

エージェントはとことこやってきて窓に身をあずける。

「なに?シエルと寛人を殺せばいい?
でも毒回ってるんでしょ?
僕が戦わなくてよくない?」

と首を傾げた。
ナトリはタバコをくわえてから
「あたしもそれは思った。」
と目を細めた。



「僕さあ、ちょっとヴァンクールじゃないすごい力を感じるんだけど…
そっち行ってきていい?」とにっこり笑う。

ナトリはタバコの煙をはいてから仕方ないようにうなずいた。

「じゃあ、誰か呼んできてくれない?」


「オーケー。」

ーーーーーー


その頃ランナは薬草の倉庫でこの国の薬について、専門家の少女?婉那に話を聞いていた。



「この薬は、鬼茸の…」

薬の生成についてや、薬草を使った止血方法について、さらにこの辺で取れる薬草を大量に貰うことができた。




大量の薬草を袋につめながら、
「ランナはまだ15なのに手術も出来るなんてすごいな。」
と婉那は薬草を抱きながら呟いた。


ランナはせっせとつめながら
「ううん。治癒力があれば…と思うときがたくさんあるよ。
もうどの病院でも、手術なんかやってない。みんな治癒力で治してる…」
バレンチアにはたまたま治癒能力者がいなかった。

(だから僕は医学を心得た。
時代遅れな医学を。)


婉那はにっこり笑った。
「ランナ。この世界から能力が無くなれば、あなたはもっと大切にされる。
医学を学ぶのはとても素晴らしいこと、」

その言葉に元気はでたが、内心、(そんな世界。あり得ないよ)と。



袋に薬草を全てつみおわり、袋を両手でかつぐ。
「うわ。結構重い…」
足をふらつかせながら、必死に前に進む。

「ランナ!危ないよ。」
ふらつくランナの目の前に婉那がたった。

「すいません。」
と袋が邪魔でランナには見えないが婉那が謝っている声は聞こえた。

そして、



「ランナ!危ない!」
という叫び声も…

ランナはその声にかろうじて反応し、袋を落として身軽な身をひるがえした。

ガシャーンッ
倉庫のなかの何かが砕ける音を片耳に感じ

スタッと地面に着地して走って外に出る。
その場所にすぐに婉那も着地した。
さすが忍び。と思うような身のこなしだ。


倉庫から砂煙が漂っていて中はよく見えない。


目を凝らして見ていると、ようやく影が見えて中の人が見えた。


「あっ?」
女性だ。美しい茶髪をなびかせて…
そして見たことのあるような瞳。

国の違い、そして何千分の1の確率で…

ランナは見たくなかった。嫌でもあの人との関連性を感じてしまうから。



ー右は紫、左は青。

ヒロのお姉さん…。


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あきゅろす。
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