シエルとヒロが女の人についていくと、2階のかなり奥の部屋につれていかれた、

ふすまを開くと大きな机と座椅子の置かれた部屋だ。

「ちょっと座って待っといてや。」
そう言って綺麗な女の人はパタンッとふすまを閉めた。



シエルは部屋を見回した。
「なんか子供と遊んだだけで大袈裟だね。
他になにかしたの?」
シエルは窓を見つめて、ヒロに視線を戻した。

ヒロは首を傾げる動作をして、
「…してないと思うけど。」
と小さく呟く。


そしてパチッと携帯を開いた。
「メール来ないな。」
きっとヴァンクールからのメールを待っているのだろう。


スー
「お待たせしました。」
襖が開いたと思うと、先ほどの女の人が入ってきた。


「いい匂い。」
シエルは鼻をかぐ動作をしてにっこり笑う。

「ええ、試作の味噌汁なんやけど、」

なるほど、客には直接出せないから。
と2人ともこんなに対応が良いわけが解った。



女の人は手際よく味噌汁の入った椀を2人の前におく。
その時、シエルは女の人を見て目を細めた、
それに女の人は気づくと、
「?どうしたんです?」
とにっこり笑う。

「いいえ!」
シエルは慌てて首をふった。


「どうぞ。」

「いただきます。」
2人は同時に椀を持って味噌汁を食べていく。

「美味しいですね。」
ヒロが嬉しそうに呟いた。

2人は飲み終わったあと、各々感想を述べた。

女の人は嬉しそうに
「ありがとう。参考になるわ。」
と笑顔でいうと、2人の椀を持って去っていった。




少ししてから
「そろそろ出よう。迷惑になるから」
とシエルが立ち上がった時に襖が開いた。


「ヒロくん、さっきの人知り合い?」
とヒロが遊んであげた女のことその美人の母親が入ってきた。


2人ともその言葉を聞いて首をふる。
「えぇ?みんな知らんっていうねんな。
目立つ緑の着物やけど、誰も知らんねんよ。」
と指を唇に当てた。


するとシエルが思いだしたように
「あの人からタバコの臭いがしたの…
ここの女の人はそういうの気を付けてるでしょ…」

すると女の人は頷いて
「じゃあ、ここの芸者とかの偽物ってことやね。
なんかされてないから、安心やけど。」
とにっこり笑った。


その瞬間、
ヒロの顔が青ざめた。
なにやら喉や腹をさわっている。
シエルも嫌な予感がした。

「彼女を探そう…。」
シエルが低い声で静かに呟く。


「?
あの女の人ならさっき階段上がっていったよ、
探すんやったら色んな人に聞いて回りや、
ここ、ものすごい広いからなあ。」


2人は礼を言ってから部屋を飛び出した。



ー毒を盛られたかもしれない…。





ーーーー
その頃…

「うまいやろ〜」
とある部屋で先ほどの女は呟いた。


「あーあー、おっかねーな」
と隣に座っている男は両手をあげて呆れる。


「あたしは戦えへんから、こんなゲームをせな勝てへんからなあ」
女はにっこり笑った。


「そのゲーム、俺も手伝いますよ。ナトリ姐さん。」



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