頑張ろう

「なあ。
これどこ行くつもりなんだよ。」
ヴァンクールがアシェルにたずねた。

アシェルは窓の外を見ながら
「あぁ、なんか忍びの里の場所をヒロが知ってるらしいぞ。」

「忍びの里、知らないな…」

アシェルは、ハハッと笑って
「まあ、忍びの里って言うくらいだから、普通にあったらだめだよな。」


ヴァンクールはスーッとキッチンへ向かった。

ガチャっと冷蔵庫を開けて
「お腹すいたよな?」
とヴァンクールがヒョコッと顔を出した。

「そういえば何もたべてないよな。」
アシェルは腹を見た。

「シエルも食べないといけないからな。」
と冷蔵庫をあさっている。

「いつもヴァンクールが作るのか?」

「んー。シエルは舌が病気だからなー」
と呑気に言った。
要するに、へたくそなのだ。


「じゃあ俺が作ろうか?」

アシェルは普通に言った。
またヴァンクールは頭を出して、アシェルを見た。
「アシェル。料理できるの…?」
かなり警戒している。

「まあな!一人暮らしだったし!」
アシェルは鼻を高くした。

「シエル、殺さないでよ。」
ヴァンクールはそう言うとキッチンから出てきた。

そのままアシェルと入れ替わる。

「まあ、任せなさい!!」
自信満々のアシェルを見て、少し心配だったが
ヴァンクールはシエルの方へ向かった。



冷蔵庫をあけると卵とカニの脚。
「喉を通りやすい…
!雑炊だな。」

アシェルは黒のカッターシャツの袖を捲った。








トントントンッ
「シエル、」


「…どうぞ」
ガチャ

ヴァンクールはシエルの部屋に入った。

シエルはベッドの上で寝転んでいた。
「怪我は大丈夫か?」

シエルはゆっくり頷いてから
「ランナのおかげでだいぶましになったよ。」


ヴァンクールはそのままベッドに腰かける。
「ウェルテスだっけ、奴は強いな。」

(ヴァンクールが敵を誉めることなんてあまりないのに。)
「でもあたしは…。フェアリーさんが。」
シエルは今にも泣き出しそうだ。

その時、ヴァンクールはポンッとシエルの頭の上に手をおいた。

「ヴァン…」

「ごめんな。シエル、俺のせいだ。だから…
俺が、出来ることまではやるつもりだ。」
シエルは下を向いた。


「ヴァン…まさか、」



ヴァンクールは笑顔で頷いた。
「ああ。ずっと前から考えてた。


もう…俺は逃げないよ。」



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