ウェルテス

鎌がふりおろされる前に、
ウェルテスは少し遠くにジャンプしてそれをよけた。

「くそっ!」
トンッと地面に着地してからウェルテスはシエルを見た。

シエルはとても暗い顔をしていた。
そしてしたを向いた。
「お前がみんなを…」


「うん。
お前には俺を殺す権利がある。」
ウェルテスはそう言って片足を後ろに少し上げて、その場でジャンプした。
トンットンッ…


そしてシエルに指をさす。
「生きるために。
この世界で生き残るため。」

シエルが目を見開いて青ざめた。


「ふ…ふざけるなぁ!」
シエルは思い切り鎌を振り上げた。

かまいたちがウェルテスに向かって一直線に飛んでいった。


ウェルテスは避けようとせずに右手をつきだした。
「こんな風じゃ俺を殺せない!!」

キィンー…
耳をつんざくような高い音。誰もが嫌いなあの音だ、

シエルには一瞬水色の塊が見えた。

(あれは…。)
『氷よ、』
シャインがすぐに答えた。
ああ…確かに氷がかまいたちからウェルテスを守った。

ウェルテスを見るとその後ろには風が通った時にみられる、引っ掻き傷のようなあとが全くなかった。

(完全に打ち消された。)

もう一度ウェルテスを見た瞬間、
(っ!)
さっきの場所にいない。


シエルの腹のすぐ前に茶色い頭が見えた。
シエルはとっさに腹の回りに風をまとった。


「くぅっ!」


ドカンッ

シエルに鋭い痛みと、そのあと壁にぶつかった鈍い痛みが襲う。


「能力の使い方…上手だな。」
シエルがうっすら目を開けると、
ウェルテスが右手をブンブン空で振っていた。
わずかだが血が飛び散っているのを確認できる。


風のオーラにまともに手を突っ込んで、あれだけのけが…
ー速すぎるのだ、


ズキィッ

シエルは鈍い痛みに顔をしかめる。
恐る恐る腹を見ると、大量の血。

(この前治ったところなのに。)

どくどくと血が流れている。
シエルは動けなかった。

そこにウェルテスが歩いて来ている。

ウェルテスは目の前で止まって右手をつきだした。

(殺される!)

その瞬間腹の痛みがなくなった。


腹には氷がはってある。
ウェルテスの顔を驚いて見ると、
「止血だから。」
と笑顔で見つめられた。


シエルはなぜか無性に悔しくなって、
「やめろ!あたしの命を助ける気か!?」
おもいっきり睨み付け、横にあった鎌を握ろうとすると、



ゴキィッ。
「えっ」
何が起こったのか、
ウェルテスはただシエルの右腕を蹴った"だけ"だった。
子供がサッカーボールを蹴る見たいに、

それだけで、
(あたしの腕は脱臼している。)


「フェアリーさん…。ごめんなさい。」




ケタが違う


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あきゅろす。
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