2人の騎士


ホームはとても静かだった。

「ヒロ兄ちゃん。他のみんなは?」
ランナは怖がったようにヒロのブラウスをつかんだ。


「俺も誰にもあってないんだ。」

さっきシエルとヴァンクールがやっていたみたいに緊急呼び出しボタンの方へ向かう。



その時
「お兄ちゃん!ヴァンの足に!」
ランナが叫んだのと同時にヒロは刀をふりおろした。


ブチブチッ
足に絡まっているのは"樹の根"だった。
ヒロの刀は見事にあたり、たち切ることができた。


「出てこい!」
そう叫んだ瞬間、
2人の足場が盛り上がった。
「…ッ!」
離れたところにジャンプすると、「メキメキメキッ…」と先ほどの足場から太い樹がはえた。


「ヴァンクールを渡してください。」
樹の枝の上に気配を感じてヒロが見上げると、金髪の女性が太い枝にすわっている。


「お前は騎士か!?」
ヒロが叫ぶ。

女性はニコッと笑った。
「ええ。クレスタといいます。」


「そして俺はウェルテス。」
はっと樹の根本を見る。
(全く気づかなかった。)
そこには茶色…。
いや、赤茶色の髪の青年がもたれていた。

青年はイタズラな笑みを浮かべて。
「任務は終わったんだけど、クレスタのがまだだからなー」
とクレスタの方を見た。

「もう!(ヴァンクールが)来るのが遅かったからでしょ」



(この女が樹の力か)
ヒロが考えていると、隣をすごいスピードで何かが飛んだ。

カキンッ
クレスタが顔の前に樹の枝を出して顔を守った。

カランッカラン。
地面に落ちたのは……メスだ。

「こんなことしたのはお前らの仕業か!」
「全員殺したのは俺ね。」ウェルテスがメスに目を向けながら言った。


「全員…?」
ランナの声が震えた。


「そうだ。全員…でもあんたが生きてるな…
ヴァンクールか…。」


それはヒロとランナに、アルフとフェアリーが本当に死んで、バレンチアが滅びた事実を伝えた。


「だって!ほら。」
ウェルテスは服をまくって右腕を見せた。

…契約の紋章。
かすかに光っている。


「まさか。フェアリーさん…?」

「そっ。」
こいつが騎士の4番だったのだ。


「この力を試したかったんだけど、任務外の殺しはしたくないからね。」
ウェルテスは困った顔をした。


「きゃ!」
クレスタが樹から飛び降りた。

そして樹の真ん中から上がずれた。

そしてヒロたちの頭の上をかまいたちがビュッと通り過ぎた。


「クレスタ!大丈夫か」
ウェルテスが叫んだと同時にウェルテスの上に鎌がふりおろされた。

ドカンッ。


(シエル…)



[*前へ][次へ#]

17/24ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!