居住区

さらに15分。
先ほどのこともあってか、4人とも武器を握りしめていた。

シエルとアシェルは各々の心刀。ヒロは霞の刀。ヴァンクールはいつものバタフライナイフ。


だいぶ目がなれてきて、気付いたことがあった。

ところどころに樹の枝や根が張り付いていて、いつ動き出してもおかしくない状況。



「あっ!」
先頭のシエルが前を指刺した。
銀色の小さい門。

どうやら次の駅、居住区に着いたようだ。

キィ…

シエルが門を開ける。
やはりここも電気がついていない。


「サブシステムに行こう。」
ヴァンクールが3人に言った。
シエル先頭に廊下を歩く。
何本も枝分かれしている廊下を何回も曲がったりして周りとは少し違う重たそうな金属の扉の前に着いた。


ヴァンクールが扉の横にある小さな機械に歩みよってボタンを長押しした。

するとその機械に明かりがともった。


ヴァンクールの隣でシエルが胸をなでおろす。

ピッピッピッピッ

ヴァンクールがボタンを押していった。

すると金属の扉が
ギギイと音をたててゆっくりと開いていく。


ヴァンクールが「待っててくれ。」と言って、中に入って行った。






ヴァンクールは中に入ると大きな機械の前に歩みよった。

(これだ!)
かろうじて光っている"緊急時機能作動レバー"とかかれたレバーがある。
『これを上に上げたらきっとすべての機能が復活するよ!』
マリが教えてくれた。

緊急時にしかこのサブシステムは使われない。
月一の点検以外では誰も入らない。


ヴァンクールはレバーをつかんだ。
「んっ!」
予想以上に重たい。
グググッ

レバーが上にあがった。

その瞬間。


「うわ!」
ヴァンクールは目に腕をあてる。
一気に電気がついたからとても眩しかった。


「ヴァンクール!!全部ついてる!」
外からアシェルの声が聞こえる。

一応壁にかけてある居住区のマスターキーを取って、外にでて扉の隣の機械のボタンを押した。
ゆっくりと扉が閉まった。


周りをみまわすと、暗かった時と同じくらい、まだ不気味だった。

人の気配が全くない。



「みんなはどこだろう。」シエルが眉をひそめて辺りをみまわした。


するとヴァンクールがサブシステムの斜め前の『アン』とかかれて表札のかかった扉を引いた。


ガチャッ

鍵がかかっている。
「ヴァンクールいいのか?」
アシェルが尋ねた。

ヴァンクールは
「緊急事態だから、」
といってマスターキーで鍵をあけた。


カチャッ。


「すいません…入ります。」

静かな玄関。
ヴァンクールは静かに部屋の奥へ歩む。
「誰もいないみたいだな、」

その時、
「みんな…。」
ヒロが一番後ろでトイレを覗き込んでいった。


3人はトイレの中を見る。


「あ…」
1人の女の人が血の海の中で倒れていた。

「死んでる…」
ヒロが首に指をあてて呟いた。



ヴァンクールは無言で長い睫毛をふせて口を手でおおっていた。


「ヴァン…。」
シエルが心配そうに言った。


するとヴァンクールがはっと前を向いて、
「ランナ…。」
と呟いたとたん、ヒロの手を引っ張った。

「先にブリッジに行ってくれ!」

ランナはヴァンクールにとって何度も救ってくれた、命の恩人。


ヴァンクールとヒロはランナの部屋に走っていった。
シエルとアシェルはホームに向かった。




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あきゅろす。
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