ここにも!?

真っ暗だ。
これじゃあろくに探索ができない。

「目がなれるまで待つか?それともブリッジで管理システムをいじるか?」
ヴァンクールの声が響いた。
「管理システムを作動させないと、アルフもフェアリーもブリッジにいるはずだから、」
シエルが返事した。


「電車は動いてるのか!?」
アシェルがたずねた。
「全部2つのシステムに経由してるからな…」
この言い方だと動いていない確率の方が高いようだ。

「歩行者緊急通路を通って、居住区のシステムにアクセスしよ!」
シエルがすこし大きめの声を出した。


すこし目がなれてきたところで電車のホームにむかった。

「2つのシステムってなんなんだ?」
バレンチアを全く知らないヒロが不思議そうに聞いた。

「ブリッジにメインシステム。居住区にサブシステムがあるんだ。」
電車のホームにある電車の緊急呼び出しのスイッチがあるパネルを確認する。

全くパワーランプがついてないので作動してないようだ。

「サブシステムは緊急用だからほとんどメインと同じ事ができる。ここからだとブリッジより居住区のが近いからサブでまず電車と電気をつける。」


シエルが走ってホームの端にある通路に続く小さな門をあける。
「緊急通路って電車の道通るのか!?」
アシェルが驚いた。

「正確には電車の道の隣に歩行用の通路があるの。そこをたどれば居住区につくでしょ?」

シエルが先頭になって通路におりた。かなり細くて人が1人通れるくらい。

シエル、ヴァンクール、アシェル、ヒロの順番。
一応シエルが心刀を出してヒロも霞を構えていた。


通路は光が全く入らないから本当に真っ暗だ。4人は目が慣れているから前には進めるものの。




〜15分後〜

コツッコツッ。
暗闇の中には足音しか響いていなかった。
「まだかよ…」
ヴァンクールは苛立っていた。
いつもは電車で一瞬だったからあまり距離感がわかなかったのだ。


その時


キギキィィーィ


耳をつんざくような音。
どんどんその音が大きくなっている。

「ん゛ー」
耳をふさいだ。

ギギイィィー
かなり大きくなっている。
視界に光がちらついた。
「はぁっ!?」

みんな目を疑った。



全く反応しなかった電車がちゃんと明かりをつけて、火花を散らしながら…


壁にぶつかりながらレールを無視して火花を散らしている。


そう。普通電車が通らない歩行用通路に電車がのっかっていた。


「脱線してる!」
シエルが叫んだ。

ギギギキキィー


アシェルが反対側を指刺した。
電車の放つ光の加減で電車がこちら側によっているから反対側はすかすかになっているのがわかる。


4人は反対側に走った。



ギギギイィ

光の大きさがどんどん近づいてきた。
アシェルは反対側について壁に張り付いて後ろを振り替える。順番にシエル、ヒロ、と飛び込んできた。…
「ヴァンクール!?」
アシェルが振り返るとヴァンクールがもとの通路にまだいた。

アシェルは耳がみんなおかしいことはわかっていたから、大きく手招きする。

電車の光がかなり近づいてきた。
ヴァンクールの顔がはっきりわかるくらいに。
そしてヴァンクールの足元の黒い物体も。


その時、それに気付いたヒロがこちら側の壁を蹴って跳躍した。



「ヒロ!!」

行って戻ってくる時間なんてない。

アシェルとシエルには光が眩しすぎてヴァンクールやヒロが見えなくなった。



ギギギギギギィー

薄目で火花が散る様子。電車が前を通る様子が見えた。





どんどん遠ざかっていく耳をつんざく機械音…。


「2人は?」
シエルは汗をだらだらとかきながらアシェルの方をみた。

アシェルはしたを向いた。(あれに引かれたらいくら2人でもひとたまりもないよな。)



すると
コツコツコツコツ
足音…

自分たち以外の…

シエルが叫んだ。
「ヴァン!ヒロ!」


2人がこちらに走ってきた。

「心配かけてごめん!」
ヒロがものすごくしんどそうに言った。

「なんであんなとこから…?」
シエルが目を丸くして2人を交互に見た。
さっきいたところより前に通ったところから走ってきたから。


ヴァンクールはすごく申し訳なさそうに下を向いてから
「うかつだった。」
と言いはなった。

「おれも見たぜ!
あれなんだよ…」
先ほどの黒い物体、たまたまアシェルとヒロには見えた。

「木だ。足に絡みついてとれなかった。」
ヴァンクールは悔しそうな声で言った。

「木!?
じゃあ…」
シエルが恐る恐るヴァンクールを上目遣いした。

「ああ。能力だよ。まだここにいる可能性が高い。」まだヴァンクールの命を狙っているのかもしれない。


「寛人が助けてくれなきゃ絶対に死んでいた。ありがとう」
ヴァンクールは照れくさそうに言った。


「気にしないで。」
ヒロは優しい笑みを荒い息で返した。

「そんなに疲れてるんだから何か能力つかったんだろ?」
アシェルが首をかしげながら言った。


「はい。俺はまあ…」
すこし考えて
「サイキッカーなんです。
だから空間移動もできたり、宙に浮いたりできますよ。」
相当力を使うのだろう。

するとヒロがニコッと笑って
「俺の魔力は低いから、とても燃費が悪いんですよね…」


「寛人。歩けるか?」
ヴァンクールがヒロの顔を覗きこんだ。

ヒロはあわてて手を前でふって
「ああ!大丈夫大丈夫。先を急ごう。」


これからもいろんなところに注意して進まないといけない。

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