到着

「ヴァンったら…遅いねー」
ヴァンクールが男についていってからかれこれ30分になる。

今まで恋話をしてきたがヒロが寝てしまったからそろそろ話が尽きてきた。


「ヒロは制服で来ちゃったね。」
アシェルはうなずいた。

ヒロはカサハラのブラウスとズボンで刀を背負っている状態。
いいのだろうか。



ガラガラ

「あっ!ヴァン!!」
やっとヴァンクールが帰ってきた。

「お帰り。」
アシェルはにっこり笑った。
ヴァンクールは少し目の回りが赤い。


「泣いたの…?」
シエルは単刀直入に聞いた。
ヴァンクールは首を横にふった。

「嘘。睫毛に涙ついてるよ。」
アシェルがよくみると長い睫毛に涙の粒がついていた。
(ヴァンクールじゃないとできないな…)


「なにされたの?」

シエルは少し怒ったように聞いた。

ヴァンクールは上目遣いで笑って、
「大丈夫。」

(ヴァンは言いたくないんだ。)
シエルは少ししてから「うん。」とうなずいて席に座った。



ヴァンクールは自分の席に座るとアストラシアにつくまでずっと窓の向こうを見ていた。




3時間後列車は無事にアストラシアに到着した。




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