どうしよう


この頃時々、目の前に誰かの笑顔が浮かぶんだ。


女か男かもわからなくて、年齢もわからない。


怖くなった時にその笑顔が俺を助けてくれる…







「…い。おい!」
ビクッ。俺の肩はおもいっきり跳ねた。

「何ぼーっとしてんだよ。」
変なものを見るみたいにサラバがこちらを見ていた。


俺はサラバをゆっくりと睨み続ける。

サラバは列車の中に入る扉を開けようとした。
その時こちらを少し見て

「アストラシアに来たらお前の名前は公表すんな。
みんなから命狙われるから〜」
そう言って中に入って行った。


アストラシアの人たちは俺のことを恨んでいるのか…

そりゃそうだよな…

(セイカの目的は、太陽の力を使って、カストレ以外を潰すつもりだもんな。)


本当に理解できない。
そんなことをして何になるのかとか…一体誰が得をするのかとか…



昔…アルフに言われた言葉。
『バレンチアを犠牲にしてでもお前は死なせない。』

……
俺の命にはそんな価値はない。
価値があるのは太陽の力、俺はただの生け贄。


しかも先にバレンチアが…
きっとエルが死んでから俺と契約しようとしてバレンチアに入ったんだ…




(マリ…俺はどうしたらセイカから逃げ切れるんだ?)

マリはしたを向いていたがすぐに俺の方を向いて
『強くなろ!』
と笑った。
無理矢理なのがわかる。


(ううん。わかってるんだ…俺はセイカには勝てない。
マリ…こんなこと言ってごめん。マリだって怖いのに…)


マリは俺の手にそっと手をのせた。
『ずっと一緒に…
って約束したでしょ。』



俺の目には大量の涙がたまっている。泣く気なんか全くないのに、涙が止めどなく流れていく。


(どうしよう。
俺…まだ死にたくない。)


たった今自分におかされている現実にやっと目を向けた瞬間だった。

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あきゅろす。
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