列車

ギリギリ列車に間に合った。

「扉が締まります。」
キー。ガシャン。

ゆっくりと列車が動き出した。

「バレンチアみたいに機械ぃ!っていうよりはカストレの機関車って感じだ。」
アシェルはぽつりと呟いた。なるべく回りには聞こえないように。
カストレは嫌われているから。


「アシェルはやく!席あいてるよ!」
ずれおちてくるヴァンクールを跳んでおぶって、よんでいるシエルの方へと向かった。


一番角の席はうんよく4席のシートだった。
アシェルはヴァンクールを窓際の席に座らせて、そのとなりの廊下側の席に座った。

ヴァンクールの向かいがシエルでアシェルの向かいがヒロだ。

「あ、ありがと。」
ヴァンクールはアシェルの目を見ないでいった。

またシエルがニヤついている。
「どうしたんだよ。」
アシェルが不思議そうに問いかけるとシエルはニコッと笑って、
「ヴァンとアシェルが仲良しだからつい…」
ヒロもうなずいてにっこり笑った。

するとヴァンクールが頬を膨らませて。
「おい、寛人。
お前の微笑ましいと、こいつの微笑ましいとでは少し違うぞ。」
「…?」
ヒロがぱちくりしている。
「ヴァン?あれ…いいの?」
シエルがにっこりしながら低い声で言った。
するとヴァンクールの顔がたちまち変わって
「あの本だけは見せないでくれ…!」
少し怯えている。

シエルは何を見せたのか…





アストラシアまではもう少しかかるらしい。

「ん。アストラシアまで何する?」
「恋バナ!」
早い…。シエルだ。

…ヴァンクールがすごい目でシエルを見ている。
「このメンバーで?向こうの席でやってこいよ。」
ヴァンクールは向こうの席を指差して言った。
女の子ばっかりだ。


「このメンバーってなかなかだと思うけど?」
ニヤリと笑った。

「まず、ヒロ!松本杏理はどうなんだ!」
ヒロの肩が跳ねた

「最後まで気づかれなかったよ。」
シエルからは逃げられないと思ったのか。静かに話した。


「やっぱり好きなんだ〜」
本当に楽しそうだ。

「アシェルはとばして…」「まっ、待てよ!」
アシェルは右手をだして止めた。

「何故俺をとばす!」
シエルは少し目を大きくして
「えっ?あるの…」
アシェルは悲しくなった。
「そんなモテなさそうかよ…。」
シエルはクスッと笑って
「冗談だよー、でどんな子なの?」

アシェルはゆっくりとカレンを思い出す。
「優しい子だなー。可愛いしなー。」

「うらやましー!」
シエルが幸せそうなアシェルを見て嘆いた。

「ヴァンはもういいや!」そうヴァンクールはマリにお熱だからだ。



「そういうシエルはどうなんだ?」
するとシエルはニコッと笑って
「いないよー。でも玉の輿するんだー」
とても楽しそう。



「じゃ、俺の家に嫁ぐか?」
知らない陽気な声。
みんな一斉にその方向を見る。


そこには見知らぬおじさんが立っていた。

[*前へ][次へ#]

4/24ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!