向かうはアストラシア

アシェルはヴァンクールにヒロのことをはなした。

ヴァンクールは長い睫毛をぱちぱちさせてから
口元だけにこっと笑った。
「そう言ってもらえるとバレンチアも助かる。」

するとヒロは少し「えっ」と言って驚いた。


そして自分の携帯をポケットから取り出す。
「アシェルさん。これ…」

前に見せてもらった新聞の記事。アシェルはボーッとしながら読み上げる。


「バレンチアに勝った?…」
っ!
「なんだって!?」
ヴァンクールは叫んだ。

そしてアシェルから携帯を奪い取る。
携帯を見てヴァンクールは愕然とした。


新聞の内容は
「何者かが一昨日バレンチアのリーダーを全員殺害した」
というもの。



ヴァンクールは目を大きく開いて
「アルフもフェアリーも死んだのか…?」


すると隣のシエルが
「とにかくバレンチアに戻ろう!」
と叫んでベッドから降りた。

「キズは…?」
ヒロが聞くとヴァンクールが
「俺たちには飛行船がない。だから結局アストラシアには行かないといけない。そこには治癒力の高いひとがいる」


ヴァンクールもベッドから降りた。
3人は病室を後にする。
ヒロは松本杏理を見た。

「杏理。俺は3人についていく。杏理はどうする?」

すると松本杏理は
「私はここに残って孤児院をもう一度作り直す。」
松本杏理の目には迷いがなかった。


ヒロはその目に安心して頷くと松本杏理に背を向けた。

「じゃあな」
ヒロは右手を挙げて3人に続いた。


目指すはアストラシア。
まずはバレンチアに行く飛行船を確保しなければ。





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