マリの決意

ヴァンクールは物陰に隠れながらイクサの様子を伺う。


(マリ。イクサをどうしたい?)
マリの方を見ないでヴァンクールは問いかけた。

『…。』
マリは答えなかった。

今までヴァンクールはマリで他人を殺したことはないから。

他人を傷つけた感触は心刀にも伝わる。


(ごめん。マリ)
ヴァンクールはマリの方を見て言った。

『ヴァンが謝らないで。
私が…我慢すれば、もっとヴァンは強くなるんだもんね。』

マリが震えながら言った。


「早く出てきてよー!
私から行っちゃうよー」
イクサの声。そしてコツコツという足音。


ヴァンクールは先ほどの傷や太陽の力を使ったことでの疲労がかなりひどかった。


イクサに勝てるのだろうか。


ヴァンクールはナイフを強く握って息をのんだ。


「そうだ!ヴァン〜
刺青見てごらんよー」
イクサが言った。

罠か…?

「エルの刺青、ないでしょ。」

身体中に電撃がはしったきがした。
ヴァンクールは恐る恐るうでまくりして右肘を見る。



エルは死んだんだ。
(セイカが俺を心刀にするために。)

「報告はそれだけ!
じゃあ遊びましょ!」

本当にその時
ヴァンクールの目の前にミサイルが現れた。


「チィッ!」
舌打ちをして一瞬のうちに中庭の反対側に移動する。


「やっぱヴァンは早いな!」
どこかイクサは嬉しそうに言った。


しかしミサイルは先ほどヴァンクールがいたところからグンッと方向転換してまたヴァンクールの方へ向かってきた。



『ヴァン!私を使って、』
マリは叫んだ。
『決心した。私はヴァンの心刀なんだからずっとついていく。』

「マリ…」


ヴァンクールの青い瞳が輝いた。


拳銃を構える。
ミサイルに向かって撃ち込んだ。

パンッー
ドンッ


撃った瞬間、ミサイルは爆発した。

(ありがとう。マリ)

「まだまだ!」
イクサは両手にガトリングガンを構えている。

イクサの力は銃系統の武器を瞬間召喚できる。


ガガガガ……ッ


これはさすがに拳銃じゃ落とせない。


ヴァンクールは近くの窓を割って室内に転がりこんだ。



「ッ!」
さすがに右半身が限界だ。ヴァンクールは傷口を押さえた。


「本当に早いなぁ」
イライラしたようにイクサが大きな声を出した。



その時ヴァンクールはあの声を聞いた。

「お前の相手はあたしだ!」

ビュオッ
と風を切る音。
ボンッ
と地を砕く音。

シエルだ。



[*前へ][次へ#]

24/26ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!