未来視
エージェントとランスは光の射した廊下を歩いていた。
「王様。気になってること教えてあげようか。」
エージェントはにっこりと笑いながらランスを見上げると、ランスは驚いたようにエージェントをみつめた。
「君の能力かい。」
ランスは突き当たりの扉で止まる。
「ここは。王の部屋でしょう。僕ごときが入っていいの。」
「わかってるくせに。」
ランスは口角をあげて皮肉を言いながら扉を開けた。

部屋はかなり美しい装飾で彩られている。壁にはいくつかの宝石やネックレス、どこで見つけてきたのか不思議な像や、黄金の杯などが飾られていた。
「やっぱり豪華な部屋だね。でも”今の”王様の趣味ではないね。」
エージェントは辺りをまったく見ずに言う。
「エージェント座って。」
ランスは綺麗な椅子を引いてエージェントを座らせた。ランスはエージェントの座っているのと同じ椅子にこしを掛けた。ギシと椅子が軋んだ。

「君の知識は100年そこらの知識ではないと思うんだ。僕の全知全能の力と同等の力でも持っているのかな。」
ランスは膝に肘を置き前かがみになってエージェントを見つめた。
「僕はこのこと誰にも言ってないんだけどなあー。」
エージェントは困ったように頬をかくと
「だから俺が知らない。
全知全能の力は今までの王の知識すべてだ。」
いままでの王の得た知識をすべて受け継ぐという能力である。
「先言っちゃうか。でも僕はそれも知っているよ。」
エージェントはいたずらな笑みを浮かべた。ランスが眉間にシワを寄せると
「教えてあげる。僕の唯一信用できる人だからね。あんたは絶対に僕の能力をばらさないよ。ね、オウサマ。」
エージェントは間髪入れずに続けた。
「僕の能力は未来視。でも僕がみた未来を誰にも言ってはいけない。言ってしまうと僕が一番恐れていることが起こる。」
「だったら君はこの世界の運命も知っているってことなのか。聞けないんだろうけど。」
エージェントは困った顔で頷いた。

「ありがとう。エージェント、君のこともっと知りたいよ。」


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