全知全能の力
ランスは普段は全く近づかない部屋のまえにいた。
扉にてをかけると、他のどの部屋よりも重い。
周りにはたくさんの従者、護衛がおり、ランスを見ると敬礼した。

「王子様……いえ、国王。
お気をつけて……」
従者の一人が小さくランスに言うと、ランスはゆっくりと重たい扉を押した。

ここは前国王。ソード王の部屋だ。
部屋の真ん中に大きなベッドがあり、そのうえに前国王は横たわっていた。
久しぶりに実父を見る。
前に見たときは富の象徴であるかのように太っていた。しかしいまは見る影もない。

「父上……お疲れ様です……。
あとはわたくしにお任せください。」

ランスは変わり果てた父親に敬礼すると、胸にかかったペンダントをそっとはずした。

その瞬間部屋が何も見えないほどに輝いた。

「わっ!」
ランスは目の前で輝いてるペンダントを直視できない。
それに加えて初めての感覚が頭を貫いた。

さまざまな情景が頭を貫いている。
(これは……)
移り変わるカストレの町、人々、歴史。
カストレの全てだった。
カストレの記憶がランスの頭の中に入ってくる。
(これが全知全能の力……。)
膨大な情報量にあたまがどうにかなりそうだ。

しかしわからなかったことが全て解明した。
ランスは唇を噛む。
「勝てるぞ……」


[*前へ]

38/38ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!