シエルはシエル
ピチピチ
鳥のさえずりでシエルは目を覚ました。

ここはカレンの部屋。
夕飯が終わってカレンの部屋に帰ってきた瞬間、シエルはカレンのベッドで眠ってしまっていたようだ。
同じ部屋のサギリはもういなかった。

(あたし、どのくらい寝てたんだろう……。)
すこし頭が痛い。
時計を見ると10時である。

『シエル!8時集合じゃなかった!?』
シャインが焦りながら大声を出した。
シャインとは逆にシエルはぼうっとしている。
「おはよ。」
優しい声色に振り向くと青い髪の美しい女性、カレンがティーカップを持ちながらこちらを見て微笑んでいた。
「カレン……
寝坊してごめんなさい。」
シエルはうつむくうつむく。

それを見てカレンはくすりと笑った。
「いいのよ。
ここにはいろいろ思うことがあるのでしょう?
それできっと緊張してるのよ。」

シエルはぽかんとした。
こんなに優しくて美しい女性が騎士にいるとは。
ここにきて初めてシエルは安心している。

「……
すぐ準備するね。」
シエルは複雑な気持ちでベッドから飛び降りた。
こんなところで安心している自分が情けない。
(もしあたしがヴァンみたいな決断力があったなら……
こんなところで落ち着いたりしないんだろうな。)
『シエル。
この人は悪い人じゃないよ。
偏見はいちばんだめだ。
ヴァンの真似なんかしちゃダメ!
いくらあたしのためだって言っても、
復讐なんかのためばかりに生きたらだめだ。
楽しいこと、うれしいことあったら素直に喜んでよ……』
シエルはシャインをちらりと見てからカレンの方へ向かった。

「じゃあシエル。
いこうか!」
カレンはにっこり笑った。

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