弱点

しかしその瞬間全員ヴァンクールを見ていた。
かすかであるが反応はしていたのだ。

「うっ!」
豪快に出血する腕を抑え、ヴァンクールは後ろに飛んだ。

「ヴァンクール!」
叫んだのはハンクだ。
一瞬にしてヴァンクールの前に走ってくる。
ヴァンクールは警戒して、逃げようとしたが、
「ハンクは味方だー!」
咄嗟にアシェルが叫んだので、ヴァンクールは膝をついた。

「私にお任せを。」
ハンクがヴァンクールの手首から先がない腕を掴む。
ヴァンクールは
「うっ!」
と苦しそうに喘いだ。

その瞬間ヴァンクールの腕が光ったと思うと、一瞬のうちになかったはずの手が現れる。
「!?」

アシェルはヴァンクールの驚く顔を久々に見た。
しかしアシェルもぽかんとしている。
「はい。能力はあとで説明するからエージェントを倒しますよ。」
ハンクは困ったような顔をしてヴァンクールの腕を引いて立たせた。

「ねえ。やることはわかったでしょ?
アシェル。君はヴァンクールの体をぶっ飛ばさないようにしてよ。」
エージェントはシャンデリアの上に座って笑っている。
腕には一切血がついていない。

ヴァンクールは放心状態で手を見つめていた。
(やばい。
実力差が歴然だ。)
『これがヴァンの悪い癖だよ。
戦意喪失が早すぎる。』
マリが後ろで肩に手をおいて小さく呟く。
(わかってる。わかってんだよ……。)
負けると思ったらすぐに逃げようとする悪い癖。

(エージェントもこの弱点をわかっている。
だから早速俺を倒せる早さで攻撃してきたんだ。)
ヴァンクールは唇を噛んだ。
地獄はこれからだ。


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