次期王としての決断

「ん。きょうはゆっくりしてくれ。
トレーニング毎日するわけじゃあない。だって個々に任務が入ってるはずだ。」
ランスが静かになってしまった食卓で声をあげる。

「ところで。
セイカ以外揃っているから、とても大切な話をしようとおもう。」
ふんわりと微笑んでいたランスが急に真顔になった。

何を話すかはだいたいヴァンクールにも予想がつく。
今後の国のことだ。危篤の王の死後の話。
急に静まり返った気がする。

「俺はソード王が死んだ瞬間に王になるつもりだ。
そしてそれからのことだが……
早く子供を作らないといけないと、父に言われてきたが断ってきただろう。
それについてだか……。
いまからでは間に合うと思わない。」

まるで死を覚悟したような言い方だった。
しかしそれが現実である。
セイカが騎士の一番である以上、『跡継ぎがいない場合、騎士の一番が王となる。』これに従い次の王を狙ってくるはずである。

「セイカが王になる。
これは正直避けたいことなんだ。
王になるとこの国のすべてがわかる。
図書館の鍵が受け継がれる。
もちろん彼女は動き出すだろう。
だから……私が王になった瞬間、セイカを騎士からおろそうと思う。」
今度は食卓の空気が凍った。

いままで避けてきたことである。
セイカの力すべてを把握してない分、セイカを騎士から外すということは、セイカを監視下から外すということである。
いまよりいっそう、何をしているかわからない状態である。

「王子……ソルフレアでセイカに言われたことを覚えていますか?」
ウェルテスが手を上げてゆっくり立ち上がった。
そう。あの闘技大会のときだ。

セイカは去り際に
『私を騎士から外せばいつか必ずカストレを潰すから。』
と言ったのだ。

セイカは決して嘘は言わない。
もし外せば必ずカストレを襲撃するだろう。
ランスはウェルテスを見ずに机上をみていた。その後、ゆっくり顔をあげると、全員を見回す。
「わかっているよ。
でも、これ以上セイカから逃げてどうするんだ?
セイカはカストレを潰すつもりなんだ。
そのときは遅かれ早かれ必ずやってくる。
負けると決めつけてどうする。
俺たちはなんのために、今まで戦ってきたんだ。」

『みんなの心が輝いた。』
静寂の中でフレイルが小さく呟いた。

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