懐かしい部屋
カレンたちとわかれたあと、
三人はまだ日の差している明るい廊下を歩いていた。
この射し込んだ日の光が人工的なものだなんていまだに信じられない。

「二人の部屋は別に俺の部屋でもよかったんだが、それだとみんなが反対すると思ったんだ。
だからと言ってはなんだけど。」
ランスはある部屋でぴたりと止まる。
いままでの騎士と同じ装飾の扉であることから、この部屋もまた騎士団のだれかの部屋なのであろう。
しかしこの部屋を見たとたんアシェルの隣にいるフレイルが『あっ……』と小さく声を上げた。
(どうした?)
そのわずかな声に反応したアシェルはフレイルの方を見ずに尋ねる。
『この部屋僕の部屋だ。』
フレイルの少し驚いた声にアシェルは
(そうか……)
とただ一言頷くと、
「ここはフレイルの部屋なのか。」
とアシェルがランスに尋ねた。

ランスは「そうだ。」と微笑むと、
「やっぱりフレイルはそこにいるのか。」
と下を向いて小さく笑った。
アシェルにはその笑みが心底嬉しそうに感じる。

「フレイルがいるから俺たちに監視はつけないのか。」
ヴァンクールが後ろで腕を組んでランスに問いかけた。
「ん、それもあるけどやっぱり君たちにとって俺の死は何も得しないだろう。
損ばっかりだ。
みんなは監視をつけないことは反対だろうけど……。
でも誰も君と同じ部屋なんて嫌だろうよ。」
最後にヴァンクールを見て微笑む。
「ふーん。言ってくれるな。
まあそうだな。」
ヴァンクールはフンッと顎をあげると納得したように歯を見せた。

「だからフレイル。
二人の監視……よろしく。」
ランスはアシェルの方を見てニコッと微笑む。
『はい!』
「はい!だと。」
アシェルはランスに微笑んだ。

「よかった。
じゃあ三人とも夕食のときに騎士団に紹介するから降りてきてね。」
ランスはヒラヒラと手を降るとゆっくりと歩いていった。

「無用心な王子様だな。」
ヴァンクールはちいさく呟く。

「そうだな。
まあ、夕飯まで時間あるから少し休むか。」アシェルは美しい装飾の扉をゆっくり開き中へと進んだ。

(まあアシェルもわかってるみたいだが、
あの王子様相当だぜ。)
『強いってこと?』
マリが無邪気な顔で尋ねる。
(ま、そうだな。
手合わせ願いたいな。)
ヴァンクールが少し嬉しそうに唇を噛んだ。



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