今世紀最大のイケメンです。
「っ……!」
ヴァンクールはシエルを見つめた。
どうみても様子がおかしい。
唇を噛み締め、暗い表情をしている。
何回か話を聞いていたヴァンクールはなんとなく状況を察した。
シエルはいまにも飛び出しそうである。
「おい。シエ……」
その瞬間、フワッとシエルの体が倒れた。
「こうするのが一番早いよね。」
シエルの体を支えて、抱き上げたのはキセキ。
ヴァンクールと目が合うとバチっとウインクした。
「お前……何も気を失わせなくても……。」
しかし、ヴァンクールはどこかほっとしたような表情である。

「……行こうか。
そうだ。もういってくれないかい?」
ランスがふっと笑って、腕を上にあげる。
その時ランスの首もとから一匹のネズミが顔を出し、あげられた腕の先に向かって走りだした。
全員の視線がネズミに向けられる。
ネズミはそのままランスの手から飛び出した。

その瞬間、全員一度目を疑っただろう。
ネズミが一瞬にして、金髪の男の姿に変わったのだ。
「あっ!お兄さんは!」
そこでランナだけ声をあげる。
「たしか病院で会った騎士の人だよね?
えっと……今世紀最大のイケメンだっけ?」
さらっと恥ずかしいフレーズを真顔で言った。
金髪の美青年は紫の目をパチパチさせてから、にっこり微笑むと、
「そのとーり!俺が今世紀最大のイケメンです!やっぱりそう見える??」
くるっと一回転して、ぱちっとウインクした。
「やっぱり俺は有名なの!?嬉しいなぁ〜!」
えへえへと照れながらランナをチラチラと見ている。

「お兄さんが言ったんだよ……。」
数歩引きながらランナが小さく呟くと、金髪の美青年はちょっと微笑んでから
「じゃっ!王子いってきますね!」
真顔で王子に礼をすると、すごいスピードで走っていってしまった。

「忙しいやつだな。」
ランスは呆れるように笑うと、
「じゃあそろそろ行こうか。」
と歩き出した。

全員ランスについていきながら、
「あのお兄さん、だれかさんに似てるよね。」
ランナが小さな声でキセキに笑いかける。
「んー?誰だろな?」
キセキが眉間にシワを寄せてランナのおでこを小突いた。



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