帰ってきたんだカストレに。

ーーーーーーー

「アシェル起きて。
そろそろカストレみたいだ。」
ヴァンクールの意外と大きな手に肩を揺さぶられアシェルは半分寝ていた目を擦った。
「寝そうだった。」
なんでカストレに着くとわかったのか……このエレベーターはただの金属の塊で窓なんかひとつもない。
「音が違うんだ。最初からちょっとたったときはずっと土の塊を進んでいるみたいだったから。いまはどっちかというときちんと整備された筒の中って感じ。」
ヴァンクールはアシェルの顔をみて真顔で呟いた。
『さすがヴァン。よく観察してるね。』
(俺の表情も観察されてるようだな。)

アシェルが辺りを見回すと、ヒロとキセキとサギリがぐっすり眠っていた。
正直常に周りに注意している珍しい面子だと思えるがよく考えるとこの数日で激しく体力を消耗した面子でもあることに気がつく。
「よほど疲れてたんだね……。」
ランナがキセキの顔を覗き混みながら、手を近づけていた。

「その三人、起こしてくれないか?」
ランスがミンティアに向かって微笑みかけると、ミンティアは尻尾をピンっとたてて
「あいあいさー!」
と手をあげる。

ーーーー
「お早う。」
キセキは恥ずかしそうに頭をかきながら微笑む。
「ほらみて。」
ランスが笑った瞬間、
目の前の金属板の壁が勢いよく開けた。
金属板が上に折り畳まれ、透明の壁になったのである。

「あ……ここは……」
エレベーターは町の中を勢いよくかけ上がっている。
そうカストレの町だ。
今までの町と違うところなんてない。
人々が市場を歩き、婦人は広場で談笑し、老人はカフェで休憩する。
違うのはこの町が壁で囲まれており、高い塔の上にある。そしてそのことを誰もしらないこと。

アシェルは目を丸くした。
「カストレ……俺は帰ってきたんだ。」
『帰ってきたね……』


町が見えたのもつかの間。
またエレベーターは金属の中を通り抜けることなった。

「ビー」
と大きなブザー音がエレベーター内に響いたと思うと、入ってきたエレベーターの入り口があいた。
そこは薄暗い牢屋の中。

アシェルには見覚えがあった。
ここはフレイルが死んだ場所だ。

そして
シエルにも覚えがあった。
(シャイン……)
そうシャインが死んだ場所だ。



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