ついていい嘘悪い嘘
「アローありがとう!
わたしたちいってくるね。」
ミンティアはごろごろいいながら、アロンダイトの顔に頬擦りした。

(ほんとに猫なんだ。)
ヴァンクールはごろごろいっているミンティアと被っているカウボーイハットを見つめながら、うーん。と考える。

その瞬間、アロンダイトがまた体をバネのように縮めて勢いよく飛び上がった。
ものすごい風圧に全員目を細める。

「ばいばいー!」
アロンダイトは飛行船を体にくっつけたまま、空高く飛び上がってすぐに見えなくなった。

「それじゃいくか。」
ランスがミンティアに小さく微笑み、ゆっくりと動き始める。

「そ、それにしても大きいな。」
ヒロは目の前に広がる真っ黒い塔に目を細めた。
他のみんなはカストレを見上げながら、ただ無言である。

黒い塔は目の前全て覆うような大きさで、上をみてもどこまで高いのかさえわからない。
それにしてもこれが国だとは思いにくい。

「俺たちはここに住んでたんだな。」
アシェルはボソッと呟いた。
「そうだ。
俺も正直すごいとはおもっていないし、早く国民に全てを打ち明けるべきだと思う。」
ランスがカストレに入るエレベーターを見つめながら穏やかに話す。

「王子。そろそろ入りましょー。
他の騎士帰ってきたら大変じゃないすか?」
そのとき軌跡がランスの肩をとんとんっと叩いてからまっすぐエレベーターへと向かった。
サギリや、ヒロも軌跡のあとをゆっくりとついていく。

アシェルはその様子を目を細めてみつめる。
すると隣のランスが
「アシェル。あとフレイルいるか?
あなたたちは罪人扱いだけど、俺が何とかするから大丈夫だ。
残念ながらやっかいなのは騎士より、カストレ信者の国民なんだ。
それは俺が国王になったときにちゃんと話をしないとな。」
そう言って、みんなのあとに続いた。

『国民は全てを知ったときどうすると思う?』
(外に出たいと思う。)
『だよねえ。』
アシェルはゆっくりあとに続く。

はたして全てを国民に伝えることは正しいことなのか。

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